特集【1】建設DXで変わる建設現場

就活生が業界研究を進めるうえで一番に押さえておかなければならない重要キーワード、それが「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)です。

本記事では「建設DXを進める目的」や「建設DXで導入される技術」について、わかりやすく解説します。ぜひキーワードを覚えて業界研究に活かしていってくださいね!

建設DXを進める3つの目的

1.人材不足と技術継承の問題解決

総務省の労働力調査によれば、建設業就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、2022年は479万人とピーク時の約3割(206万人)も減少をしています。

加えて高齢化が進み、2022年は55歳以上の建設業就業者数は約36%を占める一方で、29歳以下は約12%と全産業と比較しても高齢化が著しくなっています。

現場は常に忙しく、人から人への技術継承は困難な状況となっており、DX推進により熟練技術者の知識や技術をデータとして蓄積して、次世代への技術継承を可能とすることが大きな目的となっています。

2.働き方改革の実現

長時間勤務と休日の少なさが代名詞となってきた建設業も労働時間の上限を規制する「働き方改革関連法」が2024年4月から運用開始となりました。そのために必要なことは現場の省力化や作業の効率化です。DX導入により遠隔操作や自動化を進めていくことが課題となっています。

3.生産性の向上

DX推進が重要視されている最も大きな目的は生産性向上です。業務の自動化や業務プロセスの短縮で、施工管理の負担を低減し、少ない人数で効率を上げていくことが望まれています。

建設DXで導入される5つの技術例

1.AI

近年はAI(人工知能)の発展が目まぐるしく市場規模もどんどん拡大しています。主に技術継承や工程のデータ分析、予算の最適化などを映像解析や監視を通じてデータ収集し実現するようなシステム化が進められています。

2.クラウドサービス

インターネット上で提供されているソフトやアプリを利用して、デジタル化した資料や図面、施工写真、工程表、勤怠管理などをリアルタイムで共有し各種手続きも行うことができ飛躍的に効率が上がります。

3.BIM

BIMは3次元モデルを利用して建造物の図面を立体的に作成できる技術です。設計意図の共有や事前に施工内容の検証を容易に行えるので施工の効率化が期待できます。

4.ドローン

ドローンの撮影技術を用いて大規模現場や危険な現場でも安全かつ迅速に測量ができるほか、撮影した映像で現場監督は遠方から現場をチェックできます。またAIで画像診断を行うこともできます。

5.ICT

ICTはネットワークを介して情報共有を行うデジタル技術です。代表的なものとしてビジネスチャットなどオンライン上のコミュニケーションがあげられます。また建設クレーンなど重機を遠隔操作できるICT建機も開発が進んでいます。

建設DXの未来

建設DXは、業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。その導入はまだ始まったばかりで、日進月歩で新たな開発が進んでいますが、これまでも企業規模や業態によって実際の現場管理は差異がありますので、一律に進んでいくわけではありません。またいきなり業務フローを大幅に変えると、従来通りに対応できなくなることや、ミスが生じるなど逆効果になってしまう恐れがあります。そこで自社の課題を洗い出し、現場の意見、要望も取り入れて改善を進めていく必要があるとされています。

就活生の皆さんは「建設DXの推進状況と導入予定」に着目して、これからの業界研究や企業研究を進めて行きましょう。

総合資格naviでは今後、毎週「建設DXの導入事例」について紹介をしていきますのでぜひご高覧ください。

(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました)