2040年度の住宅市場展望 第2回「リフォーム市場予測と空き家問題」【住宅業界NEWS】

2024年9月3日、株式会社矢野経済研究所は、2024年の国内住宅リフォーム市場規模を7.1兆円と予測しました。この数字は前年よりわずかに減少していて、新型コロナウイルスの感染症が5類に移行し、消費動向が内向き消費(リフォームや家具・家電など)から外向き消費(旅行や外食など)にシフトしたためとしています。

これまで安定的に成長してきたリフォーム市場には、住宅企業各社が注力しているほか、家電量販店や不動産仲介会社などの異業種参入も多くなっています。

またリフォーム専業企業の中には、全てを網羅するのではなく、外壁塗装など得意とする施工分野に絞った展開も伸びているようです。

ここ十数年ほど、建築学生が地域で「古民家再生ワークショップ」に取り組む事例が増えています。現在では過疎地域ではなくとも、市井に空き地・空き家が急増していくようすがあり、まちの防犯や景観の観点からも問題となっています。

こうした空き地・空き家の多くは持ち主が亡くなり、遺族が相続している場合も多いのですが、登記簿を見ても「所有者不明」となっている不動産が増えて社会問題となってきました。

そのため法整備が行われ、2024年4月1日より、「相続登記の義務化」が施行されました。これにより相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になったのです。

今後はこれまで以上に、まだ利活用できる空き家を中古住宅として流通させる施策や、利活用が難しい「危険な空き家」の急増をどう防ぐか、社会全体が制度改革に取り組むことが求められます。

本記事では、前回に続き、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)が推計、予測した、日本における「2023~2040年度のリフォーム市場規模」、「2028~2043年の空き家数と空き家率」について紹介します。動向をしっかり把握していただきたいと思います。

以下、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)が2024年6月13日に掲載した記事「2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し」から引用します。

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リフォーム市場規模(2023~2040年の推計・予測)

「2.リフォーム市場規模(2023~2040年の推計・予測)

広義のリフォーム市場規模※4は、今後もわずかながら成長を続け、2040年には8.9兆円に達する見込みです(2022年は約8.1兆円)。狭義のリフォーム市場規模は、それより約1.2兆円小さい規模と見込まれます(図3)。

空き家数と空き家率(2028年~2043年の予測)

2024年4月、5年ぶりに更新された「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家率は13.8%と、2023年6月発表のNRI予測値(17.4%)を下回りました。これは、空き家の除却が進んだというよりはむしろ、世帯数増加に伴い居住世帯ありの住宅数が増加したため、予測と実績の乖離が生じたものと考えられます。この世帯数増加も踏まえて、改めて今年公表された「住宅・土地統計調査」を基に、中長期の空き家数と空き家率を予測したところ、2043年には空き家率が約25%に上昇する見込みです(図4)。

住宅の建て方別に空き家率の推移を見ると、長屋建※5+共同住宅では空き家率が減少している一方で、一戸建では上昇していました。これは世帯数増加の中心が単独世帯であるために、その受け皿となる長屋建+共同住宅とは異なり、一戸建に住む割合が高い核家族等の居住世帯が増加しなかったためと考えられます。

また、一般的に、一戸建の空き家は腐朽・破損ありの割合が比較的高い傾向にあります。そのため、単独世帯以外の世帯(核家族世帯等)数減少に伴い、一戸建の空き家数が増加することは、腐朽・破損ありの空き家数の増加につながります。NRIの予測では、2043年の一戸建の腐朽・破損あり空き家数は165万戸と予測され、2023年(82万戸)の2倍以上となる見込みです(図5)。

現在、空き家率の上昇が緩やかなのは世帯数の増加によるものであり、世帯数の増加を牽引しているのは単独世帯です。

2030年代前半まではこの傾向が継続するとみられていますが、単独世帯の居住先として選ばれにくい一戸建ては、今後、空き家率が急上昇していくと思われます。

これに伴い腐朽・破損ありの「危険な空き家」も急増が見込まれます。」

※4広義と狭義のリフォーム市場規模の定義:狭義のリフォーム市場規模は、「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」および「設備等の修繕維持費」を指します。広義のリフォーム市場規模は、狭義のリフォーム市場規模に「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を含めた金額」を加えたものです(住宅リフォーム・紛争処理支援センターより)。

※5長屋建:二つ以上の住宅を一棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれに別々に外部への出入り口をもっている住宅を指します。いわゆる、「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれます。

以上、株式会社野村総合研究所「2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し」から引用しました。

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(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました)