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[専門工事会社]の基礎知識2024
建設工事業は29業種に区分されている
建設工事を行うには、「建設業法第3条」に基づき、工事内容に沿った建設業の許可を得なくてはなりません。この法律で建設業は29業種に区分され、一式工事2業種と専門工事27業種に分かれています。本記事では、建設工事の種類と内容についてご紹介したいと思います。
一式工事と専門工事の違い
一式工事は土木一式工事と建築一式工事があり、「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を建設する工事」を指します。
この工事は元請業者として総合建設業者(ゼネコン)が担っています。総合建設業は一式工事の許可を受けていても、別の許可業種となる専門工事を直接自社で行うことはできません。そこでそれぞれの許可を得ている専門工事業者を下請けとして工事を発注し、工事全体を統括します。
建設業法が定める「建設業29業種」の区分は下図にまとめています。
専門工事業者(サブコン)は直接工事を請け負うこともある
専門工事業者は、ゼネコンの下請けとして土木・建築工事の一部を担うため、メインのゼネコン(General Contractor)に対して、サブコン(Sub Contractor)と呼ばれています。
ただし、専門工事業者も全ての工事を下請けとして受注するわけではなく、施主がゼネコンや工務店などを介さずに、直接、専門工事業者と工事契約を結ぶ「分離発注」とすることもあります。杭工事や足場の設置、設備工事など、特定工事だけを請負う専門工事業者はSpecialist Contractorといわれることもあります。
専門工事27業種の内容について
専門工事27業種について、その具体的な内容を解説します。
●大工工事
木材の加工や取り付けなどにより工作物を築造し、または工作物に木製の設備を取り付ける工事
●左官工事
壁土、モルタル、漆喰などをこて塗り、吹付け、貼り付ける工事
●とび・土工工事
足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事
くい打ち、くい抜き、場所打ちぐいを行う工事
土砂などの掘削、盛上げ、締固めなどを行う工事
コンクリートにより工作物を築造する工事
その他基礎的ないしは準備的工事
●石工事
石材の加工または積方により工作物を築造し、または工作物を石材に取り付ける工事
●屋根工事
瓦、スレート、金属薄板などで屋根をふく工事
●電気工事
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事
●管工事
冷暖房、冷凍冷蔵、給排水などの設備や金属製などの管を使用し、水や油などをそう配するための設備を設置する工事
●タイル・れんが・ブロック工事
れんがやコンクリートブロックなどにより工作物を築造、または工作物にれんがやコンクリートブロックなどを取り付けたり貼り付けたりする工事
●鋼構造物工事
形鋼、鋼板などの鋼材の加工や組立てにより工作物を築造する工事
●鉄筋工事
棒鋼などの鋼材を加工、接合や組立てる工事
●舗装工事
道路などの地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利などにより舗装する工事
●しゅんせつ工事
河川、港湾などの水底をしゅんせつする工事
(しゅんせつ=浚渫・水底をさらって土砂などを取り除くこと)
●板金工事
金属薄板などを加工して工作物に取り付けや工作物に金属製などの付属物を取り付ける工事
●ガラス工事
工作物にガラスを加工して取り付ける工事
●塗装工事
塗料、塗材などを工作物に吹付け、塗付け、貼り付ける工事
●防水工事
アスファルトやモルタルなどを使い防水を行う工事
●内装仕上工事
木材、石膏ボード、壁紙、たたみ、カーペット、ふすまなどを用いて建築物の内装仕上を行う工事
●機械器具設置工事
機械器具の組立てなどにより工作物を建設したり、工作物に機械器具を取り付けたりする工事
●熱絶縁工事
工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事
●電気通信工事
有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備などの電気通信設備を設置する工事
●造園工事
整地、樹木の植栽などにより庭園、公園、緑地などの苑地を築造し、道路、建築物の屋上などを緑化、植生を復元する工事
●さく井工事
さく井機械などを用いてさく孔、さく井を行う工事またはこれらの工事に伴う揚水設備設置などを行う工事
(さく井=鑿井 読みは「さくせい」 井戸を掘ること)
●建具工事
工作物に木製または金属製の建具などを取り付ける工事
●水道施設工事
上水道、工業用水道などのための取水、浄水、配水などの施設を築造する工事または公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事
●消防施設工事
火災警報設備、消火設備、避難設備や消火活動に必要な設備を設置したり、工作物に取り付けたりする工事
●解体工事
工作物の解体を行う工事
建築(一式)工事のサブコンは設備工事業が多い
我が国では、建築工事に関わるサブコンは設備工事業者が多く、各種設備の設計・施工だけではなく、メンテナンス(保守・点検・修理)を行っています。
設備工事は専門工事業種では、「電気工事・電気通信工事・管工事(空調・衛生・給排水)」に分かれます。
大手設備工事業者は高い技術力で建物の環境性能を牽引している
近年は建築設備に、省エネ・創エネ、SDGsへの対応など、高い環境性能が求められています。そのため工事や技術に対する責任やコスト削減などを企図して、公共工事や民間の新築工事でも大手設備工事業者を元請として、分離発注とすることが多くなっています。
下図は大手設備工事業の「2023年度完成工事高ランキング」です。
大手設備工事業者では多様な人材が活躍している
大手設備工事業者や、大手ゼネコンの設備施工部門には、建設系大学の卒業生だけではなく、その専門性から、電気工学科、機械工学科、応用化学学科の卒業生が技術者として多く入職しています。
2006年12月の改正建築士法により、一定以上規模の建築物は「設備設計一級建築士」が自ら設計するか、設備設計一級建築士による法適合確認を受けることが義務づけられました。設備設計一級建築士になるには、一級建築士として5年以上の設備設計の業務経験を有する者が「設備設計一級建築士講習」を受講して修了する必要があります。
そのため、一級建築士の受験資格がある建築学科卒業生は、早期に一級建築士を取得することで、より早く設備設計一級建築士として活躍する道が開けてきます。
この点から大手設備工事会社は、環境系・設備系研究室で学ぶ学生を中心に、人気の高い就職先となっています。
(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました)