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【住生活月間】2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み【住宅業界NEWS】
知っていますか?10月は「住生活月間」です!
国土交通省では住意識の向上を図り、豊かな住生活を実現するため、毎年10月を「住生活月間」と定めて啓発活動を展開しています。今年のテーマは、「~みんなに寄り添う、心地よい住まいってなんだろう。~」になります。
期間中は、国土交通省・地方公共団体・住生活月間実行委員会などが連携し、「住生活月間中央イベント」や「住生活月間フォーラム」を開催するほか、全国各地でシンポジウム、住宅フェア等を実施して、住生活の向上に役立つさまざまな情報を発信していく予定です。
住宅関連企業を進路として考えている学生は、この機に住宅フェア等を見学して、業界・企業研究をしてみるのもよいと思います。
今回、総合資格naviでは、最近話題となっている「住宅業界のカーボンニュートラルへの取り組み」についてまとめてみたいと思います。
2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味し、持続可能な社会の実現に向けた国際的な概念です。
これを実現するには、温室効果ガス排出量を削減し、吸収作用を保全・強化する必要があります。
我が国では、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、経済産業省・国土交通省・環境省は連携して、住宅の省エネ・省CO₂化に取り組んでいきます。
その施策として、2021年3月に「エネルギー基本計画」が閣議決定され、「2030年度以降新築される住宅は平均して、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とされ、「2030年において新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする目標が設定されました。
ZEHを超える「LCCM住宅」の概要
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
ZEHとは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。
LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅)とは
LCCMとは、「建設時、運用時、廃棄時においてできるだけCO₂排出を抑えながら、太陽光発電などを利用して再生可能エネルギーを創出し、ライフサイクルを通じてCO₂の収支をマイナスにする住宅」です。
つまり2030年までに新築住宅はZEH性能を有するものとし、以降はLCCM住宅も推進しつつ、2050年にカーボンニュートラルを実現するというものです。
下図は、「低炭素化に向けた住宅」と「LCCMのCO₂収支」イメージです。
2025年4月より全ての新築に「省エネ基準適合」が義務付けられます
2025年4月に「改正建築物省エネ法」が施行されます。これにより原則、全ての新築住宅・非住宅に対し「省エネ基準への適合」が義務化されます。
既に省エネ基準適合が義務化されているのは、「非住宅」かつ300㎡以上の「中規模建築物・大規模建築物」のみで、300㎡を下回る住宅・非住宅は「説明義務」のみ。300㎡以上の中規模・大規模の住宅は「届出義務」のみとなっています。
改正法施行で省エネ基準適合義務の範囲が大幅に拡大され、対象となる建築物については、建築確認手続きの際に省エネ基準への適合性審査が実施され、基準を満たさないと着工できなくなります。
出典:国土交通省住宅局建築指導課・参事官(建築企画担当)付(省エネ班)
LCCM住宅普及への課題と対策
環境性能が高いLCCM住宅は、断熱性が非常に高く、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。冷暖房を使用する機会が少なくなるため、一般的な住宅より大幅に光熱費を削減できる可能性が高いでしょう。反面、どうしても初期費用は高くなるので、コストを押さえたい顧客層にはネックとなるでしょう。
そこでLCCM住宅では、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」という補助金が受けられるように制度化されています。
また中小工務店にLCCM住宅の建設に取り組んでもらうために、国土交通省の国土技術政策総合研究所では、LCCM住宅の参考として、以下のようなデモンストレーション棟を提示しています。
デモンストレーション棟は、屋根に大きな換気塔があり、通風を活用できるため、室内の湿気・熱気を排出して室内を快適に保ちやすくなります。また、袖壁を備えることによって光や風を室内に取り込みやすくなるため、室内の快適性を向上させます。
そのほかにも太陽熱を取り入れられる大開口の効果で、冬場でも暖房に頼りすぎる心配がありません。屋根には、LCCM住宅の電気、水道に欠かせない太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルが設置されています。
出典:LCCM住宅の概要 – 国土交通省 国土技術政策総合研究所
(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました。)