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[ゼネコン]の基礎知識2024【2】ゼネコン職種オールカタログ
建設業の中でも、ひときわ企業規模が大きく、大規模建設工事を元請として扱うゼネコン(総合建設業)。その事業は社会貢献性の高さが最大の魅力といえるでしょう。
ゼネコンが扱う工事では、何百億といった大きな額が動くことも珍しくありませんが、大規模工事で、関わる人数が多くなる分、多くの職種が存在します。
本記事では、ゼネコンの職種や仕事内容に焦点を当てて解説していきます。ゼネコンを志望しているものの、業務理解が漠然としている方は、この記事を通じてゼネコンの仕事への理解を深めていきましょう。
ゼネコンの職種一覧
まずは、ゼネコンにどのような職種があるのか概要を押さえましょう。
下図は、ゼネコンの職種を一覧としてまとめたものです。実際には、総務、人事、経理など事務系スタッフ部門や、建設した施設の維持管理部門など、さらに多くの職種が存在していますが、就活生に向けて、主に新卒入社で配属となる職種に絞っています。
また各職種に関連する「出身学科系統」も合わせて掲載していますのでご覧ください。各職種の詳しい仕事内容については後述します。
ゼネコンにおける職種と仕事内容
■営業
ゼネコンのビジネスモデルは「受注型」とよくいわれます。顧客は官公庁やデベロッパーを主に、商社・広告代理店や大手メーカーなど、建設工事の施主となる対象です。
これらクライアントが「土地に建物を建てたい」というような案件を有していて、最終的には入札など、コンペ形式で提案を行ない、案件獲得(工事受注)を果たすまで折衝するのが営業職の役割です。
クライアントは、コスト面や技術力といった観点から、条件に最適な提案をした建設企業に建設を委託するわけですが、ゼネコン営業は、普段からクライアントや得意先を訪問して、建設ニーズを把握しており、得た情報を元に社内の設計部などと連携して、他社よりも有利に案件を受注する戦略や、建設費用の見積もり提示等を行ないます。受注すれば実際に建設工事を施工することになりますから、建設技術部の技術提案も重要な要素となっています。
ゼネコンが受注する規模の建設工事は数十億円から数百億円になることもあり、クライアントにとっては、発注は大きな決断となります。だからこそニーズを引き出すのは簡単なことではなく、日頃の実績や信頼関係が重要となります。
普段からマメに訪問して、業界情報や他社情報などの提供を通して関係を築くことが重要ですが、受注型とはいっても、他社と競争して勝ち取る営業となる点がやりがいにつながっています。
■設計
設計職はゼネコン本社や支店設計部に勤務して、ゼネコンが施工する建築物の設計を行ないます。基本的には自社設計物件が中心ですが、公共工事やデベロッパーなどが依頼主の場合、建築家やデザイナーがついていたり、組織設計事務所が基本設計をしていたりする物件もあります。
そのため、設計といっても、『外観やプランニングのデザインを含む設計』と『デザインはせず施工のための図面を立ち上げる設計』の2通りがあります。
設計部員の男女比は各社で異なりますが、近年は女性比率も上昇傾向にあります。また新卒採用は、ほぼ大学院卒となっていますが、近年は地方支店設計部配属で学部卒採用も例があるようです。基本業務は以下の4つになります。
1.設計業務:メインの仕事となります。構造設計部門もあります
2.監理業務:設計図通りに進んでいるか、法的に問題ないかを現場でチェック
3.計画業務:入札に備えた基本計画の策定など
4.現場支援:他社設計の物件や、改修物件などの支援業務
設計事務所よりも、施工に関する仕事が格段に多くなり、施工知識も身につくのがゼネコン設計部で働くメリットとなります。また多くは実務を計画的に進めていけるため、ワークライフバランスが高い部署といえるでしょう。
■施工管理
ゼネコンの強みは何といっても施工能力。現場監督ともいわれる施工管理は、ゼネコンの花形職種です。ゼネコンが手掛ける案件は、土木職では、トンネル・ダム・橋・道路などの社会インフラが多く、建築職では、ビル・マンション・病院・学校などが多くなります。施工管理は現場を担当して、プロジェクトマネージャーとして現場を包括的に管理・監督します。
その業務は具体的には、下記、「Q・C・D・S・E」の管理を行ないます。
●Q・品質管理(Quality)⇒使用材料の検査や、出来形検査を行う
●C・原価管理(Cost)⇒積算や見積もり、協力(下請け)会社へ発注手続きを行い、自社の売上・利益を確保する
●D・工程管理(Delivery)⇒工程表を作成してスケジュール通りに工事が進んでいるかコントロールする
●S・安全管理(Safety)⇒ 実際に現場に立入り、危険個所を確認して是正指示を行う
●E・環境管理(Environment)⇒ 現場周辺を汚染しないこと、騒音や振動、粉塵や重機の排気ガスなどによって周辺住民が被害を受けないこと、そして現場作業員が働きやすい環境を整えること
ゼネコンの施工管理では「地図に残る大きな仕事」に関われることが最大のメリットです。一方で、地方への出張・単身赴任が増えることがデメリットになります。
施工管理をする上で重要な能力は、「技術力」と「コミュニケーション力」です。現場は、基本的に屋外作業のため天候に大きく左右されます。従って、どれだけ綿密に計画しても大きな変更が発生することがあるので、工程の調整も重要な業務です。
長時間労働や休日が取りにくい面がクローズアップされがちですが、2024年度より働き方改革関連法案も施行されており、業界をあげて改善に取り組んでいるところです。
■設備(設備施工)
ゼネコンの設備施工職は建築や土木の施工管理同様に、設備関連工事の施工管理を担います。具体的な業務は施工管理(品質管理・原価管理・工程管理・安全管理・環境管理)ですが、対象となる設備には、以下の種類があります。
設備施工は建築物が完成する前段階で工事が実施されることが多く、屋根がある現場が多いため、天候に左右されにくい点は良い点ですが、建築工事が遅れるとしわ寄せがくるなど、短工期になりがちな傾向があります。また新築だけではなく、保守・点検に伴う工事も発生します。建築設備施工では、建築だけではなく、電気・機械・応用化学系学科からの入職もありますが、将来、建築設備一級建築士を取得するには、一級建築士受験資格をもつ建築系学科からの入職は有利になります。
■研究開発
研究開発職は、新しい資材や工法などを開発する仕事です。主に「技術研究所」などに勤務して、独自の研究開発を行ないます。独自技術を持てば、それだけ他社に差を付けることができるため、ゼネコンはこの部門に多くの投資を行っています。
専門性が高い研究を担うため、大学院で専門研究を修めて入職することが前提です。
まとめ
本記事は大手ゼネコンの採用情報などをもとに構成していますが、各社で多少の差異はあるものとして、応募企業については改めて再確認をお願いします。
またゼネコンは、部門別・職種別採用を行ない、部門ごとに入社後研修や配属を行なうことが多くなっています。入社後の研修内容や数年後のキャリアパスを明らかにしている企業が増えていますので、企業研究を通して情報収集をしていきましょう。
(本記事は総合資格naviライター kouju64が構成しました。)