2025年4月大改正「4号特例の縮小(実質的な廃止)」と「省エネ基準適合義務化」他【住宅業界NEWS】

2025年4月大改正を控えて、国土交通省が全国10万人の「実務講習会」を開催

国土交通省は、2025年10月21日から「建築基準法・建築物省エネ法設計等実務講習会」を開催しています。本講習会は2024年12月24日までに、順次、全国47都道府県で開催され、定員数は10万3000人を超える大規模な講習会となります。

このような大規模講習会を開催するのは、来たる2025年4月より、住宅市場に大きな影響を与える、脱炭素への大改正を予定しているためです。

この講習会は、11月下旬から国土交通省のオンライン講座でも受講ができるようになる見通しです。

2025年4月脱炭素への大改正とはどのような変更か?

2025年4月から、次の「3つのルール」が変更となります。

1.全ての新築で省エネ基準適合を義務化!

・省エネ適判手続きが必要になります。

・使用基準で評価する場合は省エネ適判は不要です。

※省エネ適判は、過去記事で解説していますのでご確認ください。

【住生活月間】2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み【住宅業界NEWS】

2.木造戸建住宅の建築確認手続き等を見直し!

・「建築確認」が必要な対象範囲を拡大します。

・「審査省略」の対象範囲を限定します。

・構造・省エネ関連の図書等の提出が必要となります。

3.木造戸建住宅の壁量計算等を見直し!

・重い屋根・軽い屋根等の区分を廃止

・算定式に基づき、壁量および柱の小径を算定

・表計算ツール・早見表(試算例)を使用可能

本記事では、改正建築基準法による「2. 木造戸建住宅の建築確認手続き等を見直し!」について解説したいと思います。

改正建築基準法により縮小される「4号特例とは」?

現状の4号特例では、2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物について、建築士が設計・工事監理を行った場合、建築確認時の構造耐力関係規定等の審査・検査を省略することができます。

対象となる建築物は、「建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物(4号建築物)」であり、木造の場合「2階建て以下」かつ「延べ面積500m2以下」「高さ13m・軒高9m以下」、非木造の場合「平家」かつ「延べ面積200m2以下」です。※別表参照

改正後は4号の区分がなくなり、新2号建築物(木造2階建て、および木造平屋建て200㎡超)と、新3号建築物(木造平屋建て200㎡以下)に分かれて、

【1】「建築確認・検査」「審査省略制度」の対象範囲が変更されます

(出所:国土交通省)

また、新2号建築物については、

【2】確認申請の際に構造・省エネ関連の図書の提出が必要になります

(出所:国土交通省)

この改正によって、建築物の安全性確保と審査プロセス効率化のバランスが調整されたといえますが、改正の本来の目的は、「2050年カーボンニュートラルの実現」です。2030年には住宅省エネ基準をZEH水準に引き上げることが決定しており、2025年施行の法改正はあくまでその一部となります。

4号特例は1983年に法改正してできた制度で、当時は4号建築物の着工件数は現在の倍程度あったことから制定されましたが、近年の着工件数減少や環境変化により本来の形に戻したとものいえます。改正により、作業量が増加することに対しては、業界団体も連携して取り組んでいくことになっています。

 

(本記事は総合資格naviライター kouju64が構成しました。)