[建設業界関連業種]の基礎知識

意外な業種でも建築学生を採用募集

建物という都市やまちの基盤をつくる建設業界には、さまざまな関連業種・企業が存在します。インテリアやランドスケープの設計事務所が近接する業種として真っ先に浮かぶでしょうが、建材メーカーや事務機器メーカー、確認検査・住宅性能評価機関も関わりが深く、また電力会社などのインフラ系企業やビルの警備会社など、一見すると関係なさそうな業種においても建設業界と関わりがあり、建築系の学生を募集しています。
ここでは主要な業種を概観していきましょう。

内装・ディスプレイ

内装、つまりインテリアの設計や施工を業務としている企業は、設計事務所同様、大手から中小まで存在しています。学生から人気のある乃村工藝社や丹青社は組織化され上場していますが、インテリア設計事務所の多くは建築のアトリエ設計事務所と同程度の規模です。扱う対象は商業施設から住宅まで幅広く、中には設計業務だけでなく施工業務まで担う会社もありますが、建築士の独占業務の範囲に及ぶ場合が多いため、建築事務所登録をしているところがほとんどです。社員もインテリアデザイナーやインテリアプランナーの資格に加えて、建築士の資格を保有している人が多く所属しています。
またインテリアメーカーにおいては、インテリアを設計・デザインする職種以外に、営業職として、マンションデベロッパーに対して家具のアドバイスを行う職種や、ショールームで来訪したお客様に設備選定のアドバイスを行う職種もあります。
いずれにせよ、設計された空間の魅力を高めるためのセンスや知識が必要で、建築学科で学んだことが大いに生かせるでしょう。

インフラ系

社会を支えるインフラ系企業はさまざまな施設を扱います。そういった施設の設計や改修が必要となり、社内に建築部門を設けたり、グループ内にエンジニアリングや建築を担う会社を抱えている企業もあります。設計対象は、発電所やエネルギー基地など大規模で特殊なものが多いですが、建築技術者はその企画・計画・設計・工事管理といった一連の流れに関わります。社会のインフラをつくることは責任が伴いますし、電力やガスの自由化、また地球環境問題など業界をとりまく環境の激変に対応していくことはやりがいのある仕事と言えるでしょう。また、東京電力や東京ガスといった大手は海外展開も積極的に図っており、海外で活躍する可能性も高いでしょう。

確認検査・住宅性能評価機関

一定の条件に該当する建築は、着工前に建築基準法をはじめとした法令に即しているかどうかチェックする確認申請を行わないといけません。この確認申請を受け付ける検査機関はもともと役所などの公的機関でしたが、1999年から民間に開放され国の指定を受けた確認検査機関が数多く誕生しました。確認検査機関の現場では設計図書を見て、時に法令集と付き合わせながらチェックしていくわけですが、その業務には設計の知識がないといけません。役所で確認検査が行われていた時代は建築主事(公務員)がその業務に当りましたが、民間に開放されてからは、建築基準適合判定資格者が担っています。この建築基準適合判定資格者は、検定に合格しなければなりませんが、検定を受けるには一級建築士に合格して定められた業務において2年以上の実務経験が必要です。建築士の人気の就職先の一つですが、大手では新卒採用を積極的に行う企業もあります。

その他の関連業種

建築系学生が活躍するフィールドはまだまだあります。安定した就職先として昔から根強い人気の官公庁においては、建築専門職の仕事として都市計画や建築指導、宅地開発指導などさまざまな業務があります。先に出た確認検査の業務を担当する部署は建築指導課が担うことが多く、公共施設の新築や改修の担当部署は多くの場合営繕課と呼ばれています。営繕課では設計を自ら行うこともありますが、市庁舎や図書館など大規模施設は外部委託して民間の設計事務所やゼネコンと協働することが多いでしょう。
建設コンサルタントは橋梁やダムといった土木建造物を設計する企業ですが、水道施設であれば浄水場の管理棟というように土木建造物に付随する建築を設計
しないといけません。大手ではそういった建築物の設計業務を担う、建築系学生の新卒採用を行う企業もあります。
その他、ハウスメーカー等から設計業務の委託を受けているアウトソーシング業、CADやBIMを操る専門技術者の派遣を行う派遣業、建築資材や住宅設備
機器を開発・販売する住設・建材メーカー、竣工写真をはじめとした建築の撮影を専門に行うストックフォトの会社、建築専門に特化した広告代理店といった建
築系メディアなどさまざまな業種・企業があるので、視野を広げいろいろな業種・企業を研究することが大切です。

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