
電気設備系サブコンの基礎知識(売上高ランキング)
前記事では、建築系大学からの入職が多い、空気調和衛生設備系の大手サブコンを紹介しました。今回は、建築系からの入職は多くはないものの、建設工事に欠かすことができない業態である、電気設備工事業を中心とする大手サブコンについて紹介します。
電気設備系サブコンは、建設系高専や電気系の大学、工業高校などから多くが入職しており、企業規模や工事高は空調衛生設備系を超えるものがあります。
電気設備系サブコンとは?
電気設備系サブコンは、建物内の電気設備工事を担う専門工事会社です。 電力会社から供給される電気を建物内で使えるよう引き込み工事を行ったり、建物内の各所へ電気を送る幹線設備を整えたりします。 また照明設置やコンセント配線工事なども重要な任務です。 サブコンによっては、電話やインターネットなど電気通信設備の設置を担当することもあります。
■主な電気設備工事
1.送電線から電気を建物に引き込む(変換が必要)
2.屋内電線の計画、配置
3.送電設備やシステムの設置
電気設備系工事の市場規模は?
2024年の建設投資額は74兆3,500億となっていますが、そのうち、2兆5,000億円を電気設備工事が占めている状況です。
2024年のゼネコン売り上げは17兆9000億円です。電気設備工事の売上を対比すると13.9%となります。なお、屋外を含む電気工事全体では2022年度、約11兆円と推計されています。
電気設備系サブコン売上高ランキング
下表は、電気設備系サブコン大手9社を売上高順ランキングとしたものです。
売上高は連結決算数値ではなく、単体としての数値になりますのでご注意ください。
電気設備系サブコン大手9社の特徴をご紹介します。
1.きんでん
きんでんは1944年に「近畿電気工事株式会社」という社名で関西電力の工事部門として発足しました。電気設備工事から情報通信、環境に配慮した包括的サービスのESCO(Energy Service Company)事業なども行っている企業です。
施工事例としては、みずほ丸の内タワー・銀行会館・丸の内テラスなどがあります。
2.関電工
関電工は1944年に設立した東京電力系の総合設備会社です。電気設備工事に強みを持ち、屋内線・環境設備、情報通信設備、電力設備の分野で数多くの特許を取得しています。
施工事例として、東京スカイツリーや渋谷ヒカリエ、東京ビッグサイト、表参道ヒルズなど大規模な工事に携わっています。
3.九電工
九電工は1944年に創立し、九州を中心に電力の配電線工事、電気工事や空調管設備工事などでインフラに貢献してきた総合設備会社です。
施工事例は、福岡空港国内線ターミナルや総合医療福祉センター、ハウステンボス太陽光発電設備など九州中心に多数あります。
4.トーエネック
トーエネックは中部電力グループの子会社で、中部地方を主たる事業エリアとしています。電力供給から省エネ住宅設備工事、エネルギー事業まで展開している企業です。
施工事例は岐阜現代美術館 桃紅館やザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都などがあります。
5.ユアテック
ユアテックは、東北電力グループの企業です。1944年の創立以来、総合設備会社として東北を中心に事業を展開してきました。
施工事例は新青森県総合運動公園陸上競技場や鶴岡市文化会館などが代表的です。
6.明電舎
明電舎は1917年に設立され、電力インフラや電鉄用システムの提供などの事業を展開している重電メーカーです。
施工事例としては、品川区役所 太陽光発電施設設置工事や都立大崎高等学校 太陽光発電設備工事などがあります。
7.日本電設工業
日本電設工業は、1942年に設立された鉄道電気工事から情報通信工事までを手掛けている企業です。
施工事例は、北陸新幹線(金沢ー敦賀間)や東急池上線池上駅などです。
8.中電工
中電工は、中国電力のグループ企業で屋内電気設備から送変電地中工事まで事業を展開しています。
施工事例は、広島大学フェニックス国際センター MIRAI CREA(ミライ クリエ)などです。
9.住友電設
住友電設グループは、総合エンジニアリング企業として、電気工事、情報通信工事をはじめ、電力、空調、プラント等の設備工事全般を幅広く手がけています。1960年代から東南アジアでも多くの工事を行っています。
施工事例は水戸ニュータウン・メガソーラーパークやシントーン ヴィレッジ APSタワーなどが代表的といえます。
下表はご紹介した、電気設備系サブコン大手9社をまとめたものになります。
今後の市場規模予測
電気設備工事の国内市場規模は、DXの推進や再生可能エネルギーの推進で、風力発電や太陽光発電システム設置が進んでいくことから、今後5年間で拡大していくと考えられます。大型建設案件として、都市再生プロジェクトやデータセンター建設などの需要が増加傾向にあります。
電気設備系サブコンは各企業が技術開発やDX推進をしていますので、業界・企業研究ではこれらに注目していく必要があると思います。大手は電力会社グループの一員として設立された経緯もあり、安定した経営基盤を有していることも特徴です。
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)