センコーとハウスメーカー3社が住宅物流で協業開始。共同輸送でトラック2,160台分の運転時間を削減【住宅業界NEWS】
2024年問題を契機に「住宅物流4社協議会」を発足。持続可能な物流体制スタートへ!
物流業界では、2024年4月に施行された「働き方改革関連法」により、トラックドライバーも時間外労働の上限規制(約2割減の960時間/年)が適用されることになりました。この「2024年問題」を受けて、物流各社はドライバーの労働力不足へ対応しながら、同時に輸送能力を安定的に確保することが求められています。
また環境省による「地球温暖化対策計画」では、2030年度に二酸化炭素排出量を2013年度比で35%削減することを目標としています。
これらの課題に対して、物流会社のセンコー株式会社と、住宅メーカーの旭化成ホームズ株式会社、積水化学工業株式会社 住宅カンパニー、積水ハウス株式会社は「住宅物流4社協議会」を発足し、物流効率化と脱炭素社会への貢献を目指して12月より住宅物流で協業を開始しました。
この協業では、共同輸送だけではなく、共同調達なども検討を進めていく方針です。
課題解決を目指して掲げる、4つの協業施策
住宅物流4社協議会が、物流効率化と脱炭素社会への貢献を目指して掲げる協業施策は下記4点となっています。
以下、それぞれの施策について解説をしていきます。
施策①物流拠点・車両の共同利用
ハウスメーカー3社が保有する全国7エリア29か所にある物流拠点と、トラックを共同利用することで、効率的・安定的な物流網の構築を目指します。
4社で情報を共有化しながら、より効率的な物流の仕組みを構築し、積載効率を向上するために「共通パレット」の導入も検討していきます。
施策➁部材メーカーからの購入・輸送を共同で実施
従来は各社がそれぞれ車両を手配して、同一メーカーから住宅部材を輸送していたのに対して、ハウスメーカー3社の荷物をまとめ、車両を共同手配することで積載効率を向上させて、輸送力の強化を図るとともにトラック台数の削減が可能となります。
また共同配送を増やすために、住宅メーカー3社で共同購買も促進していきます。
この協業で運転時間削減率5%、輸送CO2排出量削減率5%を見込んでいます。
出典:2024.12.16共同プレスリリース センコー・旭化成ホームズ・積水化学工業・積水ハウス
施策③車両大型化+各社拠点の中継輸送で配送効率向上
長距離の幹線輸送では、10トントラック2台分を1編成とした大型車両、「ダブル連結トラック」を導入。2台分の貨物をドライバー1名で配送することで運転人数の半減を実現します。
2024年7月に開設し、今後複数エリアでオープン予定の、センコーが保有する中継拠点「TSUNAGU STATION」をトレーラーの交換やドライバーの乗り替わり場所として活用し、配送効率の向上と長距離運転の抑制を図るとともに、2024年12月からは、順次、各社の物流拠点を結ぶ中継輸送ルートを拡張していきます。
出典:2024.12.16共同プレスリリース センコー・旭化成ホームズ・積水化学工業・積水ハウス
この施策で、2025年までにドライバーの運転時間を約1万7000時間(トラック2,160台分)削減し、輸送CO2排出量を約500t削減することを目指していくとのことです。
施策④環境にやさしい配送で輸送CO2排出量を削減へ
環境負荷に配慮し、軽油に代わる燃料導入の有用性を検証するため、EV車両や軽油代替燃料で走行する「リニューアブルディーセル車両」の導入を進めます。
既に始めている取り組みとして、2023年9月には住宅施工現場への配送に平ボディのEVトラックを導入、更に2024年10月には廃油で走行するリニューアブルディーゼル車を神奈川県厚木市に導入して、建築部材の配送を開始しています。
今後の課題
住宅物流は住宅が密集する現場に資材を運び込むことが多く、輸送業務の中でも特に注意が必要な分野になります。それだけに幹線輸送だけでなく、物流拠点から施工現場までの物流も効率化していく必要があるでしょう。
しかし、ハウスメーカーでは施工現場が個別散在しているだけでなく、各社ごとに工法も異なり、最終的な共同化が難しいという実情があります。さらにハウスメーカーとサプライヤーによって発注形式や商品情報の管理手法などが異なっているという問題もあります。
今後は、企業を横断した形で商品情報の管理手法を統一化していくといった課題も残されています。改善の余地が数多く残されている分野だけに、4社連携によって生み出される今後の成果には、さらに期待が集まりそうです。
本記事構成にあたり、下記、共同プレスリリースを参考としています。興味ある方はぜひご覧ください。
2024年12月16日【共同プレスリリース】
センコー・旭化成ホームズ・積水化学工業・積水ハウス 住宅物流で協業
共同輸送でトラック2,160台分の運転時間削減
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)