【速報】2025年「初任給」引き上げ、「給与水準改定(ベア)」の傾向について(第一報)
はじめに
昨年より全国で米、野菜などの食料品をはじめとした値上げラッシュが続き、「1月中にはレギュラーガソリンもリッター185円程度を超える」との報道があるなかで、すでに地方GSや高速道路SAではリッター200円超えが観測されるなど、止まることのない物価高騰に消費者の悲鳴が聞こえる毎日です。
2月から本格化する「2025年春闘」では、昨年に続き大幅な賃上げが予想されていますが、人材を資本と捉えて中長期的な企業価値向上に繋げるためには、企業はどのように賃上げに向き合い、採用や人材定着に繋げていくべきなのでしょうか?
また政府の要請でもある賃上げを実現できるだけの経営体力が、全ての業界・企業にあるのかどうか?ますます価格転嫁に繋がっていくのではないか?など、いま極めて重要で気になる話題といえるでしょう。
2025年、年初から続く「初任給引き上げ」のニュース!
1月初めから各社の「初任給引き上げ」に関するニュースが続きました。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、2025年3月入社の新卒社員の初任給を3万円増やし33万円に、年収も1割増しの500万円強にすると発表しました。改定は2年ぶりで、柳井正会長兼社長は「世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜てきを強化する」と強調しました。
金融機関では明治安田生命保険が2025年4月入社の初任給を33.2万円(全国転勤あり、固定残業代込み)としたほか、営業職員と内勤職員計約4万7千人を対象に、2025年度は平均5%の賃上げを実施する方針だと明らかにしました。
また東京海上日動火災保険が、2026年4月、転勤、転居を伴う場合の大卒初任給を最大約41万円に増やすとの報道がありました。
ちなみに連合が掲げる2025年の賃上げ目標は、賃上げ分3%以上に定期昇給分(賃金カーブ維持相当分)を加えた5%以上となっています。
建設系は?連続引き上げの大成・西松。大和ハウス工業は学歴に関係なく一律10万円アップ!
建設系は、昨年、大手ゼネコンが軒並み2024年入社の初任給を大卒28万円、大学院卒30万円としました。このニュースが未だ鮮明に記憶に残っていたところ、昨年12月、大成建設と西松建設が先陣を切って、大卒初任給30万円への増額を発表しました。
■参考記事
【就活情報】ぼくたちの給与はなぜ上がったのか?大手ゼネコン初任給「院卒30万円台」に突入!5社が横並びで長谷工はさらに上をいく!(2024.10.28)
大卒30万円がゼネコン基準になるかと思われた中で、1月20日午前、大和ハウス工業が自社のニュースリリースで発表した初任給が、トップニュースとして全国を駆け巡りました。全国紙やネットニュースで盛んに報道されていますので、金額を確認された方が多いと思いますが、本記事では、もう少し詳細についてお知らせします。
以下、ニュースリリースからの引用です。
「大和ハウス工業は、2025年4月1日より、当社従業員の月例給与水準を改定し、年収で平均10%アップさせることとしました。あわせて、同日入社予定の新卒社員の初任給を月額25万円から月額35万円に引き上げることも決定しました。」
上記表の通り、初任給は大学卒、大学院卒、高専・専門学校卒をそれぞれ10万円増額。これは大卒で40%の引き上げに相当し、既存社員のベースアップも平均昇給率で23.5%、平均昇給額9万2945円という思い切った引き上げです。
同社は、「2025年度は、より安心して意欲的に能力が発揮できる環境を整備するとともに、中長期的に事業の成長を担う人財を確保するため、月例給与水準の大幅な改定を行うこととしました。」としており、今回の給与改定では、月例給与と賞与の比率を大きく見直し、業績に左右されない月例給与水準を大きく引き上げるもので、社会情勢や当社業績を踏まえて、特に若年・中堅層への配分を厚くし、年収で約10%の増加を実現するとのことです。
つまり業績次第の賞与は従来より月数を減らし、毎月の給与を上げることで、年収は1割上げるということですね。
大和ハウス工業だけではなく、初任給の引き上げは、人手不足が深刻化する中で、各社が優秀な若手人材を採用、確保することが最大の狙いといえるでしょう。
大和ハウス工業は、直近で社内起業制度「Daiwa Future100」の設立や「67歳選択定年制度」導入、リスキリングを促す「自律学習プラットフォーム」の運用など、働き手の意欲やキャリアデザインにあわせた制度を創出している点も注目すべきポイントだと思われます。
まとめ
1月20日現在では、2025年の初任給を明らかにしていない企業は未だ多くありますが、昨年に引き続き、全体的に増額傾向になることは間違いなさそうです。
「お金が全てではない」とはよくいわれることではありますが、例えば、就職みらい研究所の「2024年卒就職意識調査」の結果によれば、「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできること」を支持する学生が88.5%を占めるようになっており、①社会環境の変化、②働き方の変化、③家庭環境の変化、④個人と企業との関係の変化の4つの観点から、学生のワークライフバランス志向は、ますます高まりを見せているといわれています。
出所:就職みらい研究所 REPORT(2024.3.29)
給与水準が高いといわれる企業の中には、固定残業代を含んだ表示形式の企業もありますし、時短で残業減少による手取り給与減を、基本給の増額でカバーしている企業も多くあることでしょう。大切なのは目先の給与ではなく、仕事の実態であり、職場環境であり、安定した経営基盤であり、成長できる風土であり、良好な人間関係なのでしょう。
そんなことはよくわかっている、それでも給与動向からは目が離せないよ。そんな風に思うのは、むしろ学生より、実際に勤務を継続しているわたしたちの方なのかもしれません。本記事は第一報として、継続観測したうえで、各企業の情報が出揃った段階で次報をお報せしたいと思います。
※記事中で取り上げた大和ハウス工業のニュースリリースです。興味ある方はぜひご覧ください。
「給与水準の改定および初任給の引き上げに関するお知らせ」(2025.1.20大和ハウス工業リリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)