[ハウスメーカー・工務店]の基礎知識

工業化工法で住宅生産の効率化をけん引してきたハウスメーカー

ハウスメーカーは、比較的広範囲にわたって住宅を専門に建設、供給する企業の呼称です。大手ハウスメーカー8社会に所属する旭化成ホームズ、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大和ハウス工業、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホームのほか、アイフルホーム、アキュラホーム、一条工務店、タマホーム、ヤマダ・エスバイエルホームなどテレビやラジオのコマーシャルで聞き慣れた社名が多い業界です。
大半の企業が各地に営業拠点を持ち、住宅展示場などにモデルハウスを展示して、自社製品をPRしています。
一方、大手ハウスメーカーらの供給価格よりも安価で家を提供する、「パワービルダー」と呼ばれる企業があります。この他、地域で住宅事業を展開する会社を「ハウスビルダー」と呼ぶこともありますが、中小規模の住宅建設会社も自社でハウスメーカーと称しており、ハウスメーカーの定義は明確ではありません。ハウスメーカーは、それぞれ自社ブランドの住宅を設計、施工で供給しているのが特徴です。モジュールなどを規格化した部材を自社で生産し、システム化された工業化工法で施工します。住設機器も大量仕入れし、短工期で価格競争力の高い住宅の供給を可能としています。パワービルダーは若い世代をターゲットに、小規模分譲地の開発により売上げを伸ばしてきました。郊外などで大手と競合しない土地を購入するため、さらに価格を抑えることができています。
仕事としては、大きく分けて営業職・技術職・一般職があります。営業職は、顧客開拓や施主・設計担当・工事担当などとの打ち合わせが主な業務です。技術職は、設計や現場監督のほか、部材・生産システムの開発を行う職種もあります。一般職は、営業職や技術職を事務的な面からサポートしたり、会社の総務を担当します。

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日本の住宅の工業化を振り返ると、第二次世界大戦からの復興に向けて木質系プレハブ建築の研究が進められていきました。戦後の住宅不足・人手不足に対し、規格化された高品質住宅の大量供給が必要となったのです。また、都市不燃化の観点からコンクリート系プレハブ建築も続いて登場しました。さらに1955年(昭和30年)以降、朝鮮戦争後の特需景気により成長した重化学工業が鉄骨系プレハブ建築を生み出しています。1959年(昭和34年)には、大和ハウス工業が現在のプレハブ住宅の原点となる「ミゼットハウス」を開発しました。
現在は、IT技術を活用したり、環境に配慮したりした住宅の開発が盛んに行われています。特に、断熱性能の向上や効率的な設備システムの導入、再生可能エネルギーの活用などにより、一次エネルギーの消費量の収支がゼロになることを目指したZEH(ゼッチ)は、国の補助事業の対象にもなっています。

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地域の気候風土、景観と調和した住宅を手がける地場工務店

一方、住宅建設は地場工務店や個人の大工も請け負っています。地場工務店は、規格化されたハウスメーカーの住宅と異なり、木造在来工法を中心とした伝統的な家づくりを得意とし、その地域の気候風土や生活習慣、景観などを考慮したオーダーメードの住宅づくりで差別化を図っています。デザイン性を重視し、得意なテーマやジャンルを掲げて自社の特徴を打ち出している工務店も増えています。国土交通省が2021年4月28日に発表した2020年度の建築着工統計調査によると、年間新設住宅着工戸数は前年比では8.1%減の81万2,164戸(給与住宅含む)で、利用関係別では個人が居住目的で建設した持家が前年比7.1%減の26万3,018戸、貸家が前年比9.4%減の30万3,018戸、販売目的の分譲住宅は前年比7.9%減の23万9,141戸でした。また分譲住宅の内訳は、マンションが前年比3.1%減の10万8,188戸、一戸建て住宅が同11.5%減の12万9,351戸となっています。
持家に占める大手ハウスメーカーの割合は3割程度とされ、地場工務店やハウスビルダーが日本の住宅づくりを担っているのが実情です。

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