【建築学生団体・紹介】 多賀木匠塾

地域社会貢献を目指して活動開始!まもなく23年目を迎える「多賀木匠塾」

多賀木匠塾は「滋賀県立大学で建築を学ぶ学生を中心に、湖東地域の森林文化とそれをとりまく地域について学びながら、公共空間に設置する遊具・ベンチ等の制作や子供のための木工体験などの活動をとおして地域社会に貢献する。」ということを目的に設立されました。

設立当初から塾長を務めて、多賀木匠塾の活動を支えている中西茂行さんは、滋賀県犬上郡多賀町で工務店を主宰する一級建築士で、滋賀県立大学の非常勤講師でもあります。

多賀木匠塾の主要な活動は、「間伐材を利活用した、木製大型遊具等の制作活動」ですが、毎年多くの大学生が取り組む活動も、まもなく23年目を迎えるため、これまでに制作してきた「作品」は、各地の休暇施設や保育園、認定こども園などで実際に使用され、地域社会に貢献しています。

その活動実績は、例年、中日新聞をはじめとする報道各社や林野庁でも紹介されており、全国的に知名度も高くなっています。

近年では、多賀町以外からの制作要請も増えており、「全国植樹祭、滋賀県大会」のモニュメント制作依頼なども要請がありました。

滋賀県立大学には、多賀木匠塾に加えて、加子母木匠塾(岐阜県中津川市)、川上村木匠塾(奈良県川上村)と3つの木匠塾があり、入学初月に学内で説明会が開催されます。環境科学部環境建築デザイン学科と、人間科学部生活デザイン学科の1年生は、木匠塾参加が単位認定されることもあり、多くの学生が選択して参加をしていきます。

その中でも、年間を通じて、滋賀県で活動に参加できる多賀木匠塾は人数が多く、最大規模となっています。また1年の時だけではなく、2.3年生でも活動継続しています。

多賀木匠塾のすごいところ!アピールポイントや参加するメリットなど

2024年度リーダーを務める、環境建築デザイン学科3年生、大山翔平さんに多賀木匠塾の「すごいところ」を3つ挙げていただきました。

・Point1:塾生86人という規模だからこそ実現できる、大規模制作物!

・Point2:学生が設計から施工まで全てを行う!

・Point3:多賀町という枠を越え、滋賀県全域で活動できる!

 

多賀木匠塾の主な活動。年間通して充実した体験ができる!

塾生は1年生から3年生で構成され、本年度メンバーは総勢86人です。

月2回はMTGを行い、年間通して多賀町及び「学内施設モクレン」で活動しています。

■年間スケジュール

多賀木匠塾の活動紹介

■道具講習

木工制作に欠かせない大工道具や電動工具。

ケガをしないよう、安全に早く作業を進めるには、日頃から道具に慣れておかなければなりません。特に入塾したばかりの1年生は、最初は道具を使うのに戸惑うことでしょう。

でも安心してください。1年生には3年生が手本を示しながら、「道具講習」で、基本操作を実地指導します。1年生最初の「道具講習」は、4月下旬から5月初旬に行われます。

■プレ木(ぷれもく)

1年生が初めて体験するモノづくりの機会がこの「プレ木(ぷれもく)」です。

プレ木は、モノづくりとは何かを知ってもらうこと、9月のサマースクール本番の前段階として道具の扱い方を学ぶこと、木材の加工・建方に慣れてもらうこと、そしてメンバー同士の関係を深めることを目的とした活動です。

2024年プレ木では、滋賀県彦根市で保育園の遊び小屋を制作しました。(写真をご覧ください)

多賀木匠塾では塾生に対してだけではなく、滋賀県の木育イベントに参加して、道具の扱い方指導や木工の実施、制作物のプレゼン等を行っています。

■サマースクールコンペ

サマースクールに向けて、メンバー10名ほどの班を9~10班構成します。

例年2年生が各班の班長になり、サマースクールで制作する遊具等を企画・設計します。この設計案をもとに7月学内コンペを実施して、各班で競い合います。

サマースクールコンペでは、プレゼン資料の他に、実際に模型を制作しています。

2024年は2班が提案した「ぐるんぱ」が見事1位に輝き、制作に進むことになりました。

■サマースクール

多賀木匠塾、最大のイベントであり、醍醐味と言えるのがサマースクールです。

夏休みは、建築を実践形式で体験できる絶好の機会となります。

サマースクールは、例年9/1から10泊11日の合宿形式で行います。

2023年は長浜市三田町の三田公会堂に隣接する小公園で、大型木製遊具「たこさんすべりたい」を制作しました。

全高3メートル強、直径7メートルで、最も高い中央部分より6本の「足」が伸び、それぞれが滑り台、ボルダリング、ネット、雲梯(うんてい)など違った遊びができるように設計されているのが特徴です。

なお、三田町では前年度のウィンタースクールで「おむすびパーク」という遊具を設置しており、「たこさんすべりたい」はその隣に設置しました。

おむすびのおかずに、たこさんウィンナーを置こうという発想から生まれたアイデアでした。

2024年は多賀町南西部に位置し、約86haの山を丸ごと公園にした緑豊かなキャンプ場、「高取山ふれあい公園」でサマースクールを実施しました。

サマースクールコンペで決定した「ぐるんぱ」制作をメインに、毎回食事も自炊するなど充実した環境で過ごす11日間は、生涯忘れられない思い出になりました。

写真は遊具設置場所を測量して足場位置を決め、生コンで足場を設置している様子です。

サマースクールでは、毎日、食事当番が調理して準備します。全員で食事をするのが最も楽しい時間となります。

部材寸法を測り、部材をプレカットしている様子です。

設置場所での建て方、組立を進めて行きます。

設置場所で細かな部分を施工していきます。

遂に「ぐるんぱ」が完成しました。集合して、記念撮影をしています。

■ウィンタースクール

ウィンタースクールは例年2月に実施しています。

サマースクール同様に新たな班を構成して、各班で企画をまとめ、12月に学内でウィンタースクールコンペを行い、制作物を決定します。

2024年は、近江鉄道の駅で使用する木製ベンチ他を制作して、駅に設置しました。

■多賀大社のお祭りに参加しています

多賀大社は古くから「お多賀さん」の名で親しまれる滋賀県第一の大社です。

御祭神は古事記に登場する、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)、伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)。伊勢神宮が祭る天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする八百万(やおよろず)の神々をお産みになられた親神様です。

多賀大社では年間を通じて行事が行われますが、特に大きなお祭りとなる、4月「古例大祭(多賀まつり)」、8月「万灯祭」、9月「古例祭」には、塾生が祭りの担い手として参加しています。

多賀木匠塾のメンバー構成(2024年度)

・合計人数:86人 (男性:52人、女性:34人)

・学年人数:3年26人、2年31人、1年29人

※例年変動がありますが、多い年は100名を超えることもあります。

多賀木匠塾 各種情報

代表連絡先(2024年度)

滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科3年 大山翔平

メールアドレス: tt13soyama(a)ec.usp.ac.jp

注)迷惑メール対策で@を(a)に変えています。

※例年9月頃に2年生から次期リーダーたちが選ばれています。

2025年度は各リーダーで役割分担を決定。対外連絡を担う代表が選出されます。

学生活動は3年生まで、4年生進学前に引退してOBとなります。

各種URL紹介

・Instagram : https://www.instagram.com/tagamoq/ (滋賀県立大学 多賀木匠塾)

・X(旧Twitter):https://x.com/TagamoQ (滋賀県立大学多賀木匠塾 @TagamoQ)

 

(本記事は総合資格naviライターkouju64が インタビュー取材を行い、記事構成したものです。)