特集【11】建設コンサルタント「業務額上位30社」および「業務分野別」ランキングについて【建設知識~土木編~】

前記事、「特集【4】建設コンサルタントの仕事とその魅力について【建設知識~土木編~】」では、建設コンサルタント業界の業務内容と大手5社について解説しました。

建設コンサルタント登録業者は、中小合わせて全国で3,932業者ありますが、扱う業務分野は多岐に渡り、その中で各社が得意な業務分野を持ち、実績を積んでいることも業界の大きな特徴です。

そこで本記事では、紹介企業の幅を広げて、「業務額上位30社」と「業務分野別上位5社」ランキングを紹介したいと思います。

※参考:特集【4】建設コンサルタントの仕事とその魅力について【建設知識~土木編~】

建設コンサルタント「コンサル業務額上位30社」ランキング

建設コンサルタント業の「業務額」とは、設計業務、監理業務、調査業務など、売上額のうち、建設コンサルタント業務の対価として支払われる金額のことを指します。

下記は各社の決算業績をもとに作成した「業務額上位30社」ランキング表です。

出所:建設人ハンドブック2025年版(日刊建設通信新聞社2024.10月発刊)掲載数値を元に筆者にて編集

堅調な国内公共市場を背景に上位30社は8割が業績伸長しており、建設技術研究所は初めて500億円台を突破して2位に浮上しました。日本工営も順調に業務額を増し、1位を堅持しています。上位30社は多くが前期もランクインしており、顔ぶれは大きく変わっていない状況です。

建設コンサルタント業界の市場規模は国内で約0.5兆円とされており、特にインフラ老朽化に伴う補修や防災関連のプロジェクトに対して安定した需要があります。また、新型コロナウイルスの影響で一時的に海外プロジェクトが減少しましたが、現在は回復傾向にあり、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した業務効率化や持続可能性への対応が注目されています。さらに、都市開発や自然災害対策といった社会的ニーズに応える形で、業界全体の成長が期待されています。

建設コンサルタント「コンサル業務分野別上位5社」

建設コンサルタント業界は、環境、交通、防災、エネルギー、都市計画など、幅広い事業分野を持ちます。例えば、交通分野では道路や鉄道、空港などの設計やプロジェクト管理を行い、防災分野では洪水対策や地震防災計画を支援しています。また、環境分野では再生可能エネルギーの導入や生物多様性の保全を推進している企業も多く見られます。それぞれの分野での専門技術力が高く評価されており、日本国内だけでなく、アジアやアフリカ、中東をはじめとした海外市場で活躍する企業が増えています。このように多岐にわたる事業分野が、建設コンサルタント業界の特徴といえるでしょう。

建設コンサルタント業界では、企業が得意とする事業分野によってランキングが分かれることがあります。例えば、環境分野では自然環境や再生可能エネルギーを扱うプロジェクトに力を入れる企業が評価され、交通分野においては鉄道や道路の設計・管理を専門とする企業が高く評価される傾向にあります。業務額ランキング上位の日本工営や建設技術研究所は多様な分野で事業を展開していますが、特に交通分野でのノウハウが豊富で、長年の実績があります。これにより、部門別ランキングでも業界をリードする存在であることがわかります。

建設系大学で学び、将来の進路として建設コンサルタント業界を志望している学生の多くが、学部から大学院に進んで専門研究を修めることでしょう。自身が興味をもつ分野で研究を進めていくことも非常に重要ですが、専門研究では、多くの大学で産学連携や、産学官連携によるプロジェクトに関わることも多いと思います。

建設コンサルタント各社が得意とする事業分野について知っておくことが、業界全体の動向を把握することにつながり、企業研究に役立つと思いますので、2024年5月に日経コンストラクション編集部が調査した、「業務分野別ランキング」から、筆者にて上位5社を抜粋した一覧を紹介掲載します。

日経コンストラクションでは、独自アンケートによる「ランキング上位20社」を定期掲載していますので業界志望者は確認しておくことをお奨めします。

出所:「日経コンストラクション2024.05」より筆者にて上位5社を抜粋

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)