建築学生の日常               ~早稲田大学修士1年~

早稲田大学/創造理工学研究科修士1年


Q1)建築を志したきっかけと現在の大学に進もうと思ったきっかけ

工学とアートのあいだ

建築学科を志望したのは、高校一年生の時です。建築が工学と芸術の融合した分野だと考え、志しました。私は進路選択でなんとなく理系を選択しましたが、実際のところ、興味対象は芸術でした。美術館に行くのが好きで、特に現代アートの鑑賞を楽しんでいました。理系選択のまま、芸術らしいことを何かできないかと考え、建築という選択肢を見つけました。いまはその選択が間違っていなかったと思っています。確かに、建築は工学と芸術の融合した分野ともいえるのですが、それのみにとどまらず、歴史やコミュニティ、人文学や社会学、環境エネルギーや力学など、あらゆる分野を包含していて、勉強していて決して飽きることがありません。

 

Q2)好きな授業とその理由

アイデアをかたちにする授業

私の大学には、建築学科の一般的なカリキュラムである「製図」の授業とは別に、アイデアをかたちにする技術を鍛える「設計演習」という授業があります。お題は、建築と関係ないもののあったり、作品にどんな素材を使ってもよかったりと、自由に作ったり、意見を主張することができ、楽しかったです。

 

Q31週間の大まかなスケジュール

月曜日 8時起床 4限のみ
午前中にバイトor課題をこなし、午後の授業へ

火曜日 8時起床 終日バイト
バイト後に映画を観るか課題をすることも

水曜日 8時起床 2、3限授業
終日学校で過ごす 授業以外の時間は課題やPJのmtg、リモートワークでバイトをするなど

木曜日 8時起床 5限授業
終日学校で過ごす 週一のゼミがある

金曜日 8時起床 授業ナシ
午前中は学校でPJのmtg 午後はバイト

土曜日 10時起床 授業ナシ
課題がないときはのんびり過ごす 課題があると土日がつぶれることも

日曜日 10時起床 授業ナシ
課題がないときはのんびり過ごす 課題があると土日がつぶれることも

 

Q4)設計課題等で作成したもの

私の好きな住宅 ―M.ボッタのリゴルネットの住宅―

長年続いている有名な課題です。今の先生陣が学生のときからあった課題だとか……。自分の好きな住宅を、独自の解釈を通じて、模型で表現するというもの。私は、マリオ・ボッタというイタリアの建築家のリゴルネットの住宅を選び、ヴォイドに着目して、幾何学の特異さを際立たせるように、アクリルを用いた模型で表現しました。人の協力を経て完成させました。

 

Q5)大学に入って大変だったこと

3年後期の心身の不調と4年生での復帰

大学に入って一番大変だったのは、3年生の後期に心身に不調をきたしてしまい、授業への出席や課題の提出が出来なくなってしまったことです。今になって振り返ると、3年生前期の作品制作や夏休み中のインターンの無理がたたったのだと思います。でも、その最中は作品も作れず、十分に学べず、つらかったです。しかし、最後は友達に助けてもらい、なんとか課題を出して、進級することができました。友人には本当に感謝してもしきれません。

4年生は、3年生のスケジューリングを反省し、指導に従って、なるべくコツコツ卒論を書き進め、終えることができました。最後は先輩に手伝ってもらいましたが……。

 

Q6)これから建築を志す後輩へのメッセージ

手を動かすことの楽しさと可能性

建築学科は、手を動かさないと卒業できません。一般的な大学受験勉強しかしたことのなかった私にとってはなじみのないことでしたが、手を動かすことの楽しさや可能性を知ることができました。頭で考えて、手を動かして、かたちにする。そうした学びの過程を習得できるのが建築だと思います。頭で考えるだけでは物足りない人、手を動かすのがすきな人におすすめの学問です。

 

Q7)将来の夢

まずはよい生活者

建築の授業は、様々な学術的な面白さと同時に、自分の生活と足元に目を向けることの大切さをも同時に教えてくれました。目下の目標は、よい生活者になることです。自分の生活を構成しているものに目を向け、日常的な行動を続けることによって、社会や自分自身に応答していきたいです。それはよい建築をつくることとつながっていると思います。