2040年度の住宅市場展望!「新設住宅着工数」はどう変わるか?【住宅業界NEWS】

住宅業界は建築や都市開発などの事業に注目している学生には人気の業界です。

企業研究を始めたばかりの学生さんからよく聞かれるのが、「少子高齢化の影響などで、市場がこれから先細りしていくのではないか」という不安の声です。

もちろん業界、企業ともに経営の多角化や耐震性能、省エネ・創エネ性能など、需要に応える新商品の開発や他社との競争に打ち勝つための戦略を進めていて、それを知ることこそが企業研究の重要なポイントになるわけですね。

迷いなく住宅業界を目指していくには、業界の現状や未来、今後の展望は自身の腑に落ちるまでつかんでおくことが不安を払拭することにつながるでしょう。本記事ではそこを詳しく取り上げていきたいと思います。

我が国の人口はどう変わっていくのか?

日本の人口推移、人口構造の変化については総務省が推計し、厚生労働省が発表しています。掲載する図表は厚生労働省発表のものですが、これ以外にも詳細な推計を行っていますので、閲覧したい方は下部URLからご確認ください。

日本の人口は2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%の水準になると推計されています。団塊の世代※の方々が全員75歳となる2025年には、75歳以上人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上人口が全人口の約35%となると推計されています。

また、世帯構成は、単身世帯、高齢者単身世帯、ひとり親世帯ともに増加が予想され、単身世帯は2040年に約4割に達する見込みです。

このような推計は定期的に行われていますが、現状予測はしっかりつかんでおきましょう。

※団塊の世代=第二次世界大戦終戦直後の1947年~1949年頃に、第一次ベビーブームで生まれた世代で約806万人と多くなっています。この世代の子ども世代と言われる団塊ジュニア世代も、同じように人口が多くなっています。

日本の住宅市場に関する調査・研究はシンクタンクが行っています。

以下、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)が2024年6月13日に掲載した記事「2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し」から引用します。

※引用元ページ

「株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:柳澤花芽、以下「NRI」)は、日本における「2024~2040年度の新設住宅着工戸数」、「2023~2040年のリフォーム市場規模」、および「2028~2043年の空き家数と空き家率※1」を推計・予測しました。

主な結果は以下のとおりです。※2

1.新設住宅着工戸数(2024~2040年度の予測)

新設住宅着工戸数は、2023年度の80万戸から、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸と減少していく見込みです(図1)。

2.新設住宅着工戸数の実績と予測(利用関係別)

利用関係別※3に見ると、2040年度には持家15万戸(2023年度22万戸)、分譲住宅万戸(同24万戸)、貸家(給与住宅を含む)29万戸(同35万戸)と、いずれも漸減する見込みです(図2)。

また、昨今の工事原価の上昇が2024年度は継続しない場合、2024年度の新設住宅着工戸数は86万戸・うち持家の新設住宅着工戸数が26万戸と見込まれますが、工事原価の上昇が継続した場合は、2024年度の新設住宅着工戸数は82万戸・うち持家の新設住宅着工戸数が21万戸に留まる見込みです。」

「※1 空き家率:「住宅・土地統計調査」上の「空き家数」の「総住宅数」に対する割合を指します。

※2本資料では四捨五入等の処理を施した数値を記載しています。

※3利用関係別:「住宅着工統計」上の区分で、持家は「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」、分譲は「建て売りまたは分譲の目的で建築するもの」、貸家(給与住宅を含む)は「建築主が賃貸する目的で建築するもの」を指します。」

以上、株式会社野村総合研究所「2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し」から引用しました。

※引用元ページ

住宅の販売数は、工事原価の上昇に加えて、金利上昇や社会情勢の変化、景気に影響を受けやすく、常に動向は注視していく必要があります。冒頭に示した通り、住宅関連企業は経営多角化や海外進出、コスト削減をはじめとする施策で乗り切る戦略を各社が立てており、企業研究ではこれらを比較していくことも重要となっています。

本記事では後半「新設住宅着工戸数」予測について解説しましたので、「2023~2040年のリフォーム市場規模」、および「2028~2043年の空き家数と空き家率1」の推計・予測については、次週掲載の記事で解説をしたいと思います。

 

(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました)