
国土交通省がBIM加速化事業に代わる支援策として、「建築GX・DX推進事業」を公募開始!2025年度は65億円を計上!【建設NEWS】
国土交通省がBIM活用支援策を「建築GX・DX推進事業」として刷新
国土交通省は、中小事業者の建築BIM活用を支援する「建築BIM加速化事業」に代わる枠組みとして、「建築GX・DX推進事業」創設を発表しました。
同事業は、令和6年度補正予算5億円および令和7年度当初予算案65億円において実施されるものです。
建築GX・DX推進事業は、建築物のLCA※の実施によるLCCO2※削減の推進(GX)と建築BIMの普及拡大による生産性向上の推進(DX)を一体的・総合的に支援し、取り組みを加速化させることを目的に、国が民間事業者などに費用の支援を行うものです。
※LCAとは
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービスの全体的な環境影響を評価する手法です。原材料の採取から製造、使用、廃棄に至るまでの全過程を評価し、各段階での環境負荷を分析します。LCAは、持続可能な設計や製品改善のための重要なツールであり、企業や政策立案者にとっても有益です。
※LCCO2とは
LCCO2は「ライフサイクルCO2」の略で、製品や建築物のライフサイクル全体におけるCO2排出量を評価する手法です。建築物においては、設計・建設から運用・改修・廃棄までのCO2排出量を評価し、環境負荷を総合的に評価するために活用されています
建築GX・DX推進事業には「BIM活用型」と「LCA実施型」がある
建築GX・DX推進事業は、大きくわけて「BIM活用型」と「LCA実施型」で構成されています。
出所:国土交通省
「BIM活用型」については2つの分類があり、 1つは「BIM活用を行う場合」でBIMの活用に要する費用の支援を行うものです。
もう1つは「BIM活用とLCAの実施を合わせて行う場合」で、BIMの活用に要する費用の支援およびLCAの実施に要する費用の支援を行います。
また、「LCA実施型」については、LCAの実施に要する費用の支援を行うものとなっています。
BIM活用型の支援額など具体的な内容は?
BIM活用型では、BIMモデル作成に係る対象経費の2分の1を設計調査費および建設工事費として補助します。補助対象経費は下記の通りとなります。
【補助対象経費】
・BIM導入費:ソフトウェアのライセンス費等
・BIMコーディネーター等費:BIMコーディネーター、BIMマネージャー、BIM講習に係る費用
・BIMモデラー費:BIMモデル作成費用、BIMマネージャーをサポートするBIMモデラー費用(施工BIMに限る)
補助上限額は、BIM活用に要する費用おいては延べ面積に応じて設定されており、
30,000m2以上の延べ床面積では、設計費が3,500万円、建設工事費が5,500万円となっています。
BIMモデルを作成した上でLCAを実施する場合のLCA実施に要する費用は、1プロジェクトあたり500万円。併せて、原単位の整備を行う場合は策定した一つの原単位などについて400万円を加算するとしています。
なお、BIM活用型では、元請事業者等および下請事業者等は「BIM活用事業者登録制度」に登録し、補助事業完了後3年間、BIM活用状況を報告することとなりました。
また、国土交通省が定める内容を盛り込んだ「BIM活用推進計画」の策定も補助要件となっています。
出所:国土交通省
LCA実施型の支援額など具体的な内容は?
LCA実施型は、LCA算定に係る対象経費を補助するものです。対象経費は次の通りです。
【補助対象経費】
・LCA算定に要する費用:人件費
・CO2原単位等策定に要する費用:人件費、データベース利用費、第三者検証費用、CO2原単位等公開費用、CO2原単位等の策定に係る算定ツール利用料
補助上限額は、LCAの実施に要する費用は650万円となっています。LCA算定に必要なCO2原単位等も策定する場合の上限は、策定した一つ原単位等につき400万円を加算します(一事業者あたり原単位等策定について加算可能な額は1,000万円まで)。
LCA算定に係る要件の中で、使用する算定ツールは、J-CAT標準算定法または詳細算定法、One Click LCAなどが例に挙げられています。
LCA算定と合わせて、算定に必要なCO2原単位なども策定する場合は、LCAを実施する場合の要件に加え、完了実績報告までに、策定事業者においてCO2原単位等を公表するといった要件にも適合する必要があります。
出所:国土交通省
建築GX・DX推進事業の活用を希望する設計事務所や施工業者は、補助金交付申請に先立って、電子申請にて代表事業者(BIM活用型の場合)または事業者(LCA実施型の場合)の登録を行う必要があり、登録の公募は、すでに2月18日から開始しています。現在公募しているのは、令和6年度補正予算5億円で、期限は3月31日24時まで。
令和7年度当初予算案65億円の代表事業者等の登録は、4月1日に開始予定となります。
本記事の内容は、2025年2月21日に国土交通省が公表した内容に基づきますので、今後、変更が生じる可能性があります。
出所:国土交通省「建築GX・DX推進事業について」(R7.2.21時点版)
(本記事は、総合資格naviライターkouju64が構成しました。)