
【就活情報】2025年「初任給」引き上げ、「給与水準改定・好待遇化」の傾向について(続報)
はじめに
前記事では全国で大きく話題となった「大和ハウス工業の初任給10万円アップ!」を中心に、昨年末から続いた建設業界の初任給引き上げの傾向について解説しました。
※前記事:【速報】2025年「初任給」引き上げ、「給与水準改定(ベア)」の傾向について(第一報)
それから約2カ月経過して、概ねの企業で春闘を終え、2025年度の初任給や賃上げ(ベア)について確定してまいりましたので、続報をお届けします。
2025年春闘の結果は平均賃上げ5.46%!
労働組合の全国中央組織「連合」は3月14日、2025年春闘(春季労使交渉)について、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた正社員の賃上げ率が平均5.46%(昨年比0.18ポイント増)だったとする1回目の集計結果を公表しました。
組合員数300人未満の中小労組でも賃上げ率は5.09%を記録して、最終集計で1991年以来33年振りに5%台となった昨年をさらに上回る高水準となりました。
3月14日午前10時時点の集計で、大手を中心とする760組合の要求に対する回答をまとめ、賃上げ額は平均月額で1万7828円(昨年比1359円増)でした。
企業の7割が初任給を引き上げ、平均引き上げ額は9,114円
帝国データバンクは、同社が2025年2月7日~12日、有効回答企業数1,519社に行ったアンケート結果として、2025年4月入社の新卒社員に支給する初任給を「引き上げる」企業の割合は71.0%と7割に達しており、一方で「引き上げない」は29.0%であったと公表しました。
引き上げ額を回答した企業では、引き上げ額「1万〜2万円未満」の割合が41.3%で最も高く、次いで「5千〜1万円未満」(30.7%)が続いています。なお、初任給を引き上げる企業の平均引き上げ額は9,114円でした。
出所:帝国データバンク 初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)
大手ゼネコン2025年度入社の初任給は大卒30万・院卒32万へ!
昨年12月、大成建設や西松建設が先陣を切って、大卒初任給30万円への増額を発表していましたが、他の大手ゼネコン各社も2月中に初任給の公表があり、5社ともに、2025年4月入社の初任給は、大卒30万円・院卒32万円と足並みが揃ったかたちとなりました。各社が昨年入社の初任給を2万円引き上げたことになります。
下図は2021年度以降の「大手ゼネコン 大学院卒初任給推移」となります。
準大手ゼネコンは昨年12月に大卒初任給30万円を表明した西松建設や、2024年度から、大卒30万円、大学院卒32万円とした長谷工コーポレーションがあり、中堅ゼネコン 東洋建設も2025年入社の大卒初任給を30万円にすると発表しておりますので、本記事掲載段階では全社が公表しているわけではありませんが、「初任給30万円」の波は、建設業界で一気に広がっていくのではないかと思われます。
住宅各社の動向は?大和ハウス工業に追随はあるのか?
大和ハウス工業が2025年1月20日に発表した、学歴に関係なく初任給を一律10万円引き上げ、正社員約1.6万人に対しても昇給率23.5%、昇給額9万2945円のベースアップを実施するとのリリースは、当日のトップニュースとなって全国を駆け巡りました。同社は大幅な賃上げの理由を「意欲的に能力が発揮できる環境を整備する」「中長期的に事業の成長を担う人財を確保する」などとしており、従業員の年収を平均で10%増やす計画を明らかにしました。
住宅会社では、オープンハウスグループが2025年4月入社総合職の初任給を36万円としました。これは2024年4月入社の初任給と比べて3万円の引き上げとなります。
積水ハウスは2025年2月14日、総合職全社員の給与を4月から平均約18%引き上げることを決定し、2024年度年間賞与で計算すると、9カ月分の賞与のうち3カ月分を原資として月給に振り向けるとともに、ベースアップも実施をするとしています。同社の2025年4月に入社する大卒の初任給は約30万円と25%引き上げる方針を固めました。大和ハウス工業や積水ハウスと同様に、賞与原資を月給に振り向けて、初任給、基本給を上げる方法は、大手を中心に今後増えていくのかもしれません。
大手建設会社が進める好待遇化とは?
2025年2月18日、大成建設が「人事制度改定について・【TAISEI VISION 2030】の実現を目的として2025年4月より順次実施」というニュースリリースを発信し話題となりました。
同社は、このリリースで、「人件費は「コスト」ではなく「投資」という意識の転換が、「働きやすさ」「働きがい」につながるような変革は必要」とうたい、経営の基本方針(人的資本)を掲げるとともに実施する施策を公表しました。
出所:大成建設ニュースリリース2025.02.18
大成建設に限らず、転勤手当などの拡充に注力する企業は増えており、清水建設では2024年度より、非役職者への転勤手当(一時金)を4万~7万円から10万円に増額しました。家族帯同者には8万~16万円を支給し、さらに単身赴任者への手当を月額3万2000円から5万円に増額して、帰省費用の支給を月2回から月4回に増やしました。
雇用環境改善で社員定着を狙い離職を防ぐ
建設業界が転勤などへの施策を拡充しているのは、社員定着を狙うとともに、シニア層のつなぎ留めに力を入れているためです。バブル期に大量採用したボリューム層が50歳を超えており、将来大量退職することが懸念されます。
清水建設では2021年4月から定年を65歳に引き上げました。大成建設は2025年4月から定年を60歳から65歳に引き上げ、60歳以上の年収を再雇用と比べて平均で約4割増加させるとしています。
大手建設会社では、処遇改善や教育環境の整備などを通して会社の成長につなげる人材への投資に着実に取り組んでいこうとしています。これからの時代は、各社が社員の満足度を上げるよう雇用環境を整えなければ、優秀な社員を確保できず、人材不足の解消はかなわなくなるでしょう。
まとめ
本記事は春闘が終わった時点の続報としてお届けしましたが、初任給改定を未だ公表していない企業は多く、2025年4月は、高年齢者雇用安定法の移行措置が終了する時期であることから、諸手当の拡充や人事制度改定など好待遇化へ舵を切る企業も多く出てくるのではないかと思われます。
引き続き総合資格ナビでは動向に注目していきたいと思います。
(本記事は、総合資格ナビライター kouju64が構成しました。)