特集【4】西松建設が新「生産設計BIMシステム」を構築。2030年に施工図不要を目指す!【建設DX】

これまで「施工図作成」は手間がかかる作業だった

施工図の作成は、設計図から施工図へ転記するのに時間がかかったり、見落としで記入漏れが生じたりする、たいへん手間がかかる作業でした。

近年はBIM図面をそのまま施工図として使うこともありますが、図面作成の手間が省けるものの、施工要件を付与していく必要があり、施工図を更新するたびにBIMも修正を加えなければなりませんでした。

西松建設が精度の高い施工図を自動出力する新BIMシステムを構築

2023年8月、西松建設株式会社が発表した「西松生産設計BIMシステム」は、施工図をつくる際に求められる「熟練技術者の暗黙知やノウハウ」を形式知化し、BIMシステムに落とし込むことで精度の高い施工図を効率よく作成することを可能にしました。

このシステムでは、これまで施工段階で検討してきた項目の9割を基本設計や実施設計の段階で決定することができ、施工段階前から、施工要件などを付与したBIMモデルをつくることができます。

下図は「西松生産設計BIMシステム」の業務の流れを示したものです。

 

出典:西松建設株式会社 プレスリリース

2024年度から全物流施設に新BIMシステムを適用する

西松建設は新システムを、5プロジェクトで試用して成果を実証し、設計段階で詳細を検討したBIMモデルから「実際に施工図を作成できた」とします。

2024年度からは自社で設計・施工する全物流施設に新システムを適用する予定です。

新システムは適用範囲を拡大していき、2030年には施工図不要を目指す

今後、新BIMシステムは、物流施設プロジェクトから集合住宅など、他用途建物へ適用範囲を拡大していく予定です。

2027年までに設計BIMと連動した生産設計BIMを、生産設計・工事計画・施工領域まで、一気通貫で活用しながら横断的な変革を推進し、2030年までに施工図を不要とする生産設計BIMの構築を目指すとのことです。

西松建設は『より良い建築物を、より早く、より安く、提供し、顧客価値と企業価値を高める』ことを新生産設計BIM開発で目指すとしています。

 

(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました。)