特集【5】長谷工コーポレーションの「超高層PCa梁分割システム」、BIM連動で生産性を向上させる【建設DX】

長谷工コーポレーションが自社PCa工場の施工に着手、2025年10月稼働予定

2024年9月13日、株式会社長谷工コーポレーションは、自社PCa(プレキャストコンクリート)工場の施工に着手し、2025年10月に本格稼働を予定していることを発表しました。

同社は超高層マンション現場での生産性向上、品質安定化を目的として、柱・梁・内床・外床のPCa化に積極的に取り組み中ですが、新工場稼働により、年間3,000戸超の内床PCa製造を予定しており、関東全域のマンション建設現場に供給する予定です。また、将来的には内床PCa製造量は年間5,000戸超まで増やす計画としているそうです。

これにより建設業界で課題となっている労務減少に対応しつつ、建設現場の更なる生産性向上と働き方改革を実現していきます。

PCa(プレキャストコンクリート)工法の利点とは?

PCa工法のメリットは主に次の4点となります。

1.工期短縮

現場の型枠組立作業を減少させ、工期簡略化により、工期短縮となります。

2.高品質化

品質管理の行き届いた工場で制作をすることにより、品質が均一化し精度が高い、安定した部材の供給が可能となります。また高強度コンクリートにより、耐久性や耐震性に優れた構造物となります。

3.省労務化

工場生産により現場作業が減少し、作業効率が向上。また高所作業が減少するので、作業の安全度が向上する。現場労務は削減が可能となります。

4.省資源化

木材製型枠を使用しないため、木材資源の使用減につながり、使用する鋼製型枠は、リサイクル可能で廃棄物削減ができます。

「超高層PCa梁分割システム」で検討時間は半減する

2020年10月14日、長谷工コーポレーションは、超高層マンション建設の生産性向上のため、BIMと連動した「超高層PCa梁分割システム」を独自開発したと発表しました。

新開発した「超高層PCa梁分割システム」では、特別な専門知識や経験がなくても、梁寸法やコンクリート強度、継手の長さなど、施工条件を入力するだけで、梁分割のシミュレーションが可能となり、従来の検討時間と比較して半分程度の時間短縮を実現するものです。

さらに本システムはBIMと連動させることで、PCa工場との情報化生産が可能となり、生産性向上を図るだけではなく、PCa製作図を省略して、これまでの業務の在り方を変えていくものになりました。

PCa梁の施工状況

出典:長谷工グループ プレスリリース

PCa梁の分割イメージ(青、赤、黄の分割)

出典:長谷工グループ プレスリリース

「PCa施工の品質検査システム」も同時に導入を進めている

超高層マンション建設は、長谷工コーポレーションの注力事業であり、今回は、同時に「PCa施工品質検査システム」を開発、導入しました。このシステムは、PCa施工に必要な複数の図面情報をBIMから抽出して、タブレットやスマートホンに3D表示できるため、幾つもの図面を持ち歩く必要がなくなり、検査業務の効率化を図れるものです。

長谷工コーポレーションでは、BIMを起点としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、品質検査システムの適用範囲を順次広げていく予定です。

 

(本記事は総合資格naviライターkouju64が構成しました)