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「2025年問題」が建設業界にもたらす影響とは?【建設NEWS】
総合資格naviコラム記事では、これまで建設業の「2024年問題」について、複数回取り上げてきましたが、今回は「2025年問題が建設業界にもたらす影響」について、まとめてみたいと思います。
この問題は、建築系大学や高専・専門卒から新卒採用している企業には、直接的な大問題ではないのかもしれませんが、建設業は多重下請け構造があり、建設労務を担う技能工を抱える中小企業や、親方として個人で業務を請け負う職人などには大きな影響があると思われますので、やはり知っておくべき問題だと思います。
人手不足が悪化する!2025年問題でさらに拍車がかかる
2025年問題とは、2025年に75歳以上の後期高齢者が増加して、大量に退職者が出る社会問題のことです。
建設業では、2025年には就業者数が約90万人も不足するといわれています。
2024年4月、株式会社東京商工リサーチが発表した「人手不足」に関する調査結果によると、すでに8割超の建設会社が「正社員不足」と回答していることが明らかになりました。建設会社がこのまま人手不足対策を講じなければ、問題はさらに悪化し、労働者1人当たりへの業務負荷が増大して、残業時間の削減が困難になる可能性も考えられます。
参考:「株式会社東京商工リサーチ|「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務」
大企業と比較して、中小企業では人材獲得がさらに困難になる
2025年問題によって、建設業で採用が難しくなるという課題もあります。慢性的な人手不足に陥った場合、就業者に対する労働負担の割合が増える恐れがあるためです。特に近年、働き手が重視するのは、多様な働き方が可能な職場環境や福利厚生などの条件のため、悪循環になる前に早い段階で打開策を見つけることが重要と言えるでしょう。
人手不足や長時間労働が解消されなければ、中小企業では経営が厳しくなり、大企業と比べて人材獲得がさらに困難になる恐れもあります。大企業では、給与アップや労働環境の改善に向けた予算を比較的確保しやすい傾向にありますが、中小・零細企業は余裕がなく難しいと考えられるためです。
実際、複数の大手建設会社が、2025年採用の新入社員(大卒)の初任給について、前年と比べて約7〜9%の賃上げとなる「28万円」に設定しています。
このような状況下で、中小企業は若手人材や既存の従業員に魅力的な職場づくりができなければ、求人情報を公表しても、優秀な人材の獲得は容易ではないでしょう。
倒産リスクが高くなる
建設業は人手不足だけでなく、「資材高騰」という問題にも直面しています。資材高騰によって建設コストが上昇し、会社の経営状況がひっ迫するリスクが高いと考えられます。2024年問題が解消されなければ、建設会社の倒産リスクが高くなる恐れがあります。
株式会社帝国データバンクの建設業における「倒産動向調査」によると、2023年の倒産件数は1,671件と、前年より38.8%増加していました。
2024年問題に対応しなければ、今後さらなる人手不足と建設コストの上昇に伴い、倒産件数が増加すると懸念されています。
参考:「株式会社帝国データバンク|「建設業」倒産動向調査(2023 年)」
2025年問題を乗り越えるために建設業が取り組むべきこと
超高齢社会が到来する2025年問題は、建設業においても喫緊の課題です。さらなる人材不足や採用難に陥る危険性があるため、事前対策が不可欠と言えるでしょう。
解決策としては、人材雇用の促進や労働環境の改善がポイントです。人手を確保するためには外国人や女性を含む多様な人材登用が必要となるでしょう。建設DXの導入による省力化やそのために必要な費用を確保することも大きな課題です。
これら改善改革が中小零細企業では進まず、淘汰されていく危険性があるわけですから、大手建設業や施工会社は協力業者などと連携して、人材を採用し、育成し、現場に供給していく仕組みを持つことが非常に重要になってきます。期限内に施工を完了するには、下請け会社任せにはできないからです。業界研究ではこの点に着目をしてみましょう。
(本記事は総合資格naviライター kouju64が構成しました。)