ゼネコン100社決算業績(完工高順)からわかること【建設NEWS】

本記事主旨

建設業界の中でも、ゼネコンの決算状況に関しては、四半期・半期(中間)・通期等、年間を通じて複数回報道されています。但し、その大半は大手ゼネコン5社や主要ゼネコン26社 ※に絞った報道となっています。

現実には企業によって決算期が異なる場合もありますし、報道される決算数値も、連結※と単体があり、毎回数値が大きく変わるために単純比較しにくい面があります。

特に期中の報道では全容が理解しにくい面があるため、改めて「2023年度(単体)業績上位100社」をランキング形式でお知らせして、就活の参考にしていただくのが本記事の狙いです。

また同時に難解な建設業の決算用語について解説を加えたいと思います。

※主要ゼネコン26社とは「大手5社+準大手10社+中堅11社」を意味します。

※連結=複数企業からなるグループ全体の経営成績や財政状態を一つにまとめた決算で連結決算と言われます。

ゼネコン100社決算業績(単体・完工高順・2023年4月~2024年3月)

【出典と用語解説】

1.出典

決算業績は企業発表数値を、日刊建設通信新聞社がランキング表として集計して、「建設人ハンドブック2025年度版(2024.10.02発刊)」に掲載したものを基に独自作成しています。

決算業績ランキング表は完成工事高順で、後ほど、上位から25社ずつ4表に分割掲載とします。

2.用語解説

・完成工事高とは

「完成した工事に対して得られる売上高」を意味します。建設業独自の用語ですが、建設業は完成して売上を得る請負業ですので、一般企業における「売上高」と意味はほとんど同じです。

・売上高とは

建設業決算では、期間内に得た総収入です。完成工事高に近い数値になりますが、決算期から入金がずれた場合は数値に差異が生じます。

・受注工事高とは

期間中の建設工事請負契約額を指します。工事が発注された時点で全額計上されるので、直近の建設需要や将来売上を示す指標となります。

・粗利とは

売上総利益のことで、完成工事高から原価を単純に引いた差額を差します。

原価には材料費・労務費・外注費・経費等があります。

・経常利益とは

経常利益=「営業利益+営業外収益-営業外費用」となっています。

営業外収益とは、保有するビルや土地からの家賃収入や保有している株式からの配当金などです。営業外費用とは支払い利息を指します。

・当期利益とは

会計期間の終了時点で得た純利益を指します。具体的には、営業収益(売上高など)から営業費用(労務費、材料費、その他経費など)および営業外損益(利息費用や為替差損益など)を差し引いた後の最終的な利益額です。

【ランキング表からわかること】

2022年度と比べると、旺盛な建設需要と資材高騰の影響により、完成工事高を伸ばした企業が多くなっています。前期は採算性の悪化が課題となりましたが、粗利率は平均9.9%と前期より0.2%微減に留まりました。

各社の企業努力で採算性の高い案件を受注したり、受注時に資材高騰の影響を考慮に入れた見積りを行ったりすることで、採算性改善が進んだ効果と見られます。

今年度は「時間外労働の上限規制」適用が始まり、対策として労務費上昇が進んでいますが、大手では、これらの動きを2023年度に前倒すなどしており、2024年度決算に過度な影響を懸念する企業は聞かれません。

比較掲載していませんが、日刊建設通信新聞社の前年度集計と比較すると、受注工事高は平均8.3%増となっています。

【1】2023年4月~2024年3月ゼネコン100社決算業績(1位~25位)

【2】2023年4月~2024年3月ゼネコン100社決算業績(26位~50位)

【3】2023年4月~2024年3月ゼネコン100社決算業績(51位~75位)

【4】2023年4月~2024年3月ゼネコン100社決算業績(76位~100位)

企業研究の際に、各社比較や業界の位置づけを再確認するために活用していきましょう。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)