【建築学生団体・紹介】利根運河シアターナイト実行委員会

利根運河シアターナイトは、2012年より継続開催。「利根運河を一夜限りの劇場に」をテーマに、大学の枠を超えた活動を実践しています!

利根運河シアターナイト実行委員会は、東京理科大学野田キャンパスに通う学生が中心となって「建築的視点による利根運河やその周辺の活用の提案」と「建築学科内に留まらず他学部や地域と繋がりを生む」ことを目的に活動しています。

「シアター」を「劇的な場所=劇場」と捉え、「利根運河を一夜限りの劇場に」というテーマで、2012年よりイベントを開始して、本年度、「利根運河シアターナイト2024」は12回目の開催となりました。

利根運河とは?その歴史を紹介します!

「利根運河とは、千葉県の流山市・柏市・野田市の3市に接し、利根川と江戸川を結ぶ全長8.5kmの運河です。

江戸末期、北海道や東北の生産物を大量に早く江戸へと届けるため、利根川と江戸川を使った舟運航路が利用されました。しかし利根川と江戸川が分かれる部分である江戸川流頭部(現・野田市関宿地区)には、利根川の洪水時に江戸川への流入量を制限する棒出しが設置されており、水面幅が狭く航行最大の難所でした。

利根運河は、その難所を避けるため、江戸川~利根川間を結ぶバイパスの水運ルートとして、明治23年(1890)に完成しました。運河の完成により、流頭部を通る航路よりも、距離にして約40キロ、時間にして3日から1日に短縮できるようになり、時間・費用が大きく軽減したことで、多くの船が運河を往来しました。鉄道の進出により舟運が衰退し、航路としての役目を終える昭和16年(1941)までの約50年間で、利根運河には約100万隻、年平均2万隻もの船が利用し栄えました。

本来の地形を最大限に活用して開削され、今もなお、建設当初の運河の形態や自然があります。現在は、利根運河水辺公園をはじめとし、人々の憩いの場として親しまれています。」(下記、出典元より引用)

出典:利根運河(国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所)

 

朝靄がかかる利根運河 眺望の丘付近

利根運河シアターナイト実行委員会のすごいところ!アピールポイントや参加するメリットなど

2024年度共同代表を務める、建築学科3年知念啓人さんと、満留莉璃さんに、利根運河シアターナイト実行委員会の「すごいところ」を3つ挙げていただきました。

・Point1:大学の枠を飛び越えて地域の幅広い方々と一緒に企画を考えられる!

・Point2:実際に実寸大の作品を施工し、場づくりを行うことができる!

・Point3:2012年から実施している継続力ある地域イベントを開催することができる!

毎年、学生達が主催者となって、自分たちの発案で企画を構築し、地域や行政を巻き込み共に実現させるイベントは、やりがいで溢れています!

利根運河シアターナイト実行委員会の主な活動

例年、秋に開催する「利根運河シアターナイト」という祭典を建築学生が中心となって企画します。テーマや概要は春から案を練り、地域説明会などで広報を行い、地域の方々や行政機関に協力を頂きながら、開催するための準備・運営と、会場に展示するインスタレーションの制作を進めていきます。地域の祭りなどへ協力も行います。

2024年度春メンバーは、3年生から1年生57名で開始しましたが、イベント準備や運営段階で加わる仲間もいて、他学部などを含めて最終は70名程度に拡大することがあります。

■定例会:週一回程度、野田キャンパス2号館4階製図室等に集合して実施

■年間スケジュール(2024年度の例)

※例年、年度末で3年生は引退します。新たな活動は3月下旬から開始し、イベントテーマや実施概要は春に決定して、準備を進めていきます。対外的な発表となる「地域説明会」を経て、主に夏休み期間中に準備や展示物の制作を進めていきます。

利根運河シアターナイト実行委員会の活動紹介(2024年度)

■新入生歓迎会&懇親会

利根運河シアターナイト実行委員会では、新入生入学後の建築オリエンテーションで、チラシを配布して告知します。2024年度はインスタグラムDM等で応募いただき、キャンパス付近シェアハウス(竹取荘)で歓迎会を実施しました。

また、利根運河「眺望の丘」で開催する「運河あつめ」やBBQ大会に参加を募りました。

新歓イベントは実行委員会に入会することが参加条件ではありません!まずは新入生に先輩と知り合うきっかけをつくり、さらに利根運河の美しい景観を知っていただくことが第一ですので、お気軽に!利根運河周辺の美しい春を堪能していただき、わたしたちと地域を盛り上げる気持ちが湧き起こったら、一緒に頑張っていきましょう!(笑)このようなスタンスで実施しました。

下図は2024年度の新歓チラシと「運河あつめ」の様子です。

■お菓子パーティ

新入生と初めて話せる場を設けて、お菓子を食べながら、気ままに語り合い、ビンゴゲームで景品を当てて楽しみました!

■「運河あつめ」&BBQ

「運河あつめ」とは、利根運河の「お気に入りの景色」、「好きな散歩道」、「過去のエピソード」など、運河やその周辺での個人的な記憶を多くの方から収集し、文字や写真・絵などを用いて大きな一枚の地図(4m×9m)にプロットし、利根運河左岸に広がる憩いの場「眺望の丘」に展示をする催しです。

2024年度は、3/23(土)、4/6(土)、7(日)に実施した「運河あつめ」を、新入生のために再度4/20(土)に開催しました。参加者は利根運河の眺望を楽しみながら、地図に浮かび上がる皆の「集合知」に出会い、運河にまつわる思い出を共有していくことができました。

「運河あつめ」に参加した後は、シアターナイトらしく、机や椅子をつくりながら懇談の場を設けて、皆でBBQを楽しみました!

【利根運河シアターナイト2024のテーマ・概要を決定】

わたしたち実行委員は、各メンバーの役割分担を決定し、2024年テーマを決定しました。

2024年のテーマは「tunagu」。運河という大きな空間は、一つであるにも関わらず、橋が少なく、分断されたような印象があることに着目して、改めて1つの空間として意識してもらうように「空間をつなぐ」。新しい使い方を提示し、その使い方を「未来につなぐ」。運河を取り巻く環境で生きる人と人との出会いの場を増やすことで、「人と人とをつなぐ」。このように運河をとりまく様々なものをつないでいくような場をつくるという主旨です。

春から「運河あつめ」を開催したり、地域の方から運河の歴史などを聞き取ったりして、利根運河と地域のつながりについて理解を深めてきたため、その集大成として「利根運河シアターナイト2024tunagu」を開催し、イベントを通して運河の魅力を発信していくことになりました。

会場は、利根運河の「ふれあい橋から眺望の丘にかけた両岸」ですが、2024年は主たる展示会場を市民の憩いの場である、「眺望の丘」に設けることになりました。

■利根運河シアターナイト2024 tunagu イベント概要

 

■地域説明会

「利根運河シアターナイト」はわたしたち学生実行委員が主催していますが、実施においては、大学や行政、地域の皆様に多くの協力をいただいています。協賛金も地域企業を中心にご支援いただき、当日イベントには、発電機や軽トラ、展示資材などの貸し出しや提供を受けています。ワークショップ実施や、飲食店、キッチンカー等の出店もあり、毎年、夏休み前頃に企画概要が決定すると、「地域説明会」を行い、概要説明を進めながら、参加された地域の方々より、多くのご意見をいただいています。

2024年度の「地域説明会」は7月31日(水)に開催されました。

※「利根運河シアターナイト2024tunagu」は、野田市、流山市の行政、教育委員会、観光協会、国土交通省 江戸川河川事務所に後援を頂いており、地域説明会を皮切りに各種広報協力をいただいています。市の記者会見等にも実行委員会が参加させていただき、地域の皆様に直接PRする機会を設けていただきました。

■竹取り&そうめん流し

シアターナイト当日の展示に利用する資材として、2024年8月21日(水)に、地域の方の協力のもと「竹取り」を行いました。締め括りは取った竹を利用して「そうめん流し」を堪能しました。

■小学校でワークショップ(行燈制作)9月

2024年度のワークショップは、地域の小学生が作成した作品展示と決めました。野田市、流山市教育委員会を通じて、全小学校に案内を行い、応募があった小学校からWS(ワークショップ)担当が出向いて、小学生達と一緒に行燈制作を進めていきました。最終的に13校、113クラスが参加して、50基の展示用行燈が完成しました。

■学内ワークショップ「光るドリームキャッチャー作り」

イベント本番直前に東京理科大学野田キャンパスで、「利根運河シアターナイト2024」で使用する展示物を制作するワークショップを開催しました。

利根運河シアターナイト2024tunagu 当日は、両岸をつなぐ布の制作物によるインスタレーションを展示。新しい居場所の創出に多数が参加しました!

当日の展示会場には、「tunagu」を表現した布のインスタレーション作品や、地域の小学生が作成した作品を展示。展示や地域出店者による飲食、ワークショップのブース巡り、学生・地域アーティストによるライブを楽しみに、約5,000名が来場しました。

やがて陽が落ちると、夜の利根運河を背景にインスタレーションが浮かび上がり、観衆を魅了する幻想的な空間が映しだされました。

【主催者・代表による実施講評】

本記事取材では、共同代表を務める東京理科大学建築学科3年生、知念啓人さん、満留莉璃さんに、本年度シアターナイトを終えた感想と講評をお訊ねしました。

「1年生から実行委員会に参加してきて、3年目、最後のシアターナイトでしたが、自分達が代表を務める年になり、自ら進んで地域の方々と関わりを持ち、様々な考えや意見を聞きながら地域を巻き込み、まとめていく活動はとても勉強になりました。」

「わたしは他県から入学して地元出身ではなかったけれど、活動を通して、この地域文化を体感することができたと思います。今年は新しい会場や新企画のワークショップなど、意識して新しいことに取り組みました。それだけに大変なことも多かったのですが、無事、まとまりある運営を全員でやり遂げることができて達成感につながりました。後輩達にしっかり引継ぎしていきたいと思います。」

利根運河シアターナイト実行委員会のメンバー構成(2024年度)

・合計人数:57人(男性:32人、女性:25人)

・学年人数:3年23人、2年14人、1年20人

※例年20名前後が入会しています。イベント前には準備や運営に手を挙げる学生などメンバーが増えていき、70名弱になることもあります。

利根運河シアターナイト実行委員会各種情報

共同代表(2024年度)

東京理科大学 創域理工学部 建築学科3年 知念啓人、満留莉璃、淺倉みなみ

代表メールアドレス : theaternight2024(a)gmail.com

※迷惑メール対策で@を(a)に変えています。2025年度に向けて引継を行うので、3月以降のご連絡は、各SNSのDMにお願いいたします。

各種URL

※リンク先をご確認ください

・ホームページ :公式ホームページ

・Instagram : シアターナイト2024|東京理科大学

・X(旧Twitter) : 利根運河シアターナイト2024 @theaternight24

・Facebook :公式FB 利根運河シアターナイト

※本記事に掲載した図版、写真は、利根運河シアターナイト実行委員会提供によるものです。

(本記事は、総合資格naviライター kouju64がインタビュー取材を行い、記事構成しました。)