積水ハウスが木造住宅の耐震性強化を目的とした共同建築事業「SI事業」全国展開に向けて、新たに3社と提携【住宅業界NEWS】

積水ハウスは2025年1月8日、木造住宅の耐震性強化を目的とした共同建築事業「SI事業」の全国展開に向けて、新たに3社と提携を開始したと発表しました。

併せて、SI事業で提供する独自の耐震技術「ダイレクトジョイント構法(DJ構法)」をバージョンアップし、パートナー企業各社とともに受注を開始します。

新たな提携により「SI事業」は全国展開できる体制へ

今回新たに提携した3社は、北海道札幌市の土屋ホーム、広島県広島市のトータテハウジング、福岡県大野城市の悠悠ホームです。これでSI事業パートナー企業は合計8社となり、東北から九州まで事業展開できる体制が整いました。

建設業界では2025年4月に、建築基準法の改正(4号特例の縮小)に伴う構造設計図書の提出の必須化などが予定されています。積水ハウスのSI事業は、耐震や施工などに関する独自技術のオープン化や、全棟の許容応力度設計による構造計算を提供し、パートナー企業の負担軽減に取り組んでいくものです。

出典:積水ハウスプレスリリース

パートナー企業とともに互いの強みを活かすSI事業

SI事業では、積水ハウスが耐震面で建物の最も重要な部分である「スケルトン」=「S」部分の基礎、躯体、接合部を請け負い、積水ハウスグループの積水ハウス建設が高精度な施工を行います。

そして「インフィル」=「I」部分の外装や内装は、パートナー企業が担い、地域での高い土地仕入れ力・販売力を活かして、地域特性に沿った提案を行うなど地域密着型の顧客対応を可能とします。

積水ハウスが提供するのは、基礎・躯体といったハード面に加え、ソフト面では『SI-COLLABORATION』という「商標の提供」、全邸で実施する「許容応力度計算」などの各種サポートがあります。 SI 事業では、パートナー企業の販売手法や外装・内装の独自性が確保されており、かつ積水ハウスグループによる施工が伴う点でフランチャイズとは異なります。お客様と契約し、保証やアフター対応を行うのはパートナー企業です。

出典:積水ハウスプレスリリース

耐力壁・屋根・床の強度がさらに向上する「ダイレクトジョイント構法」バージョンアップ

在来木造工法では基礎の上に土台を設置し、その上に柱を建てますが、土台の固定方法によっては接合部が弱点になる場合がありました。積水ハウスでは土台を使わずに基礎と柱を専用の構造用金物で直接緊結するダイレクトジョイント構法(DJ構法)を採用して、どの方向からの力にも均質な強さを発揮し、柱の抜けや外れが起こりにくい構造体を実現しています。

今回、DJ構法のバージョンアップとして、耐力壁や屋根、床の強度を向上させ、耐力壁は、壁倍率7.3の高強度耐力壁を、実大実験などを通じて約1年半をかけて完成させました。

出典:積水ハウスプレスリリース

この新耐力壁により耐震等級3を取得しながら、大開口のリビング空間が実現できるようになりました。なお、DJ構法、高強度耐力壁については、日本建築センターからBCJ評定を取得しています。

出典:積水ハウスプレスリリース

まとめ

地震大国といわれる日本では、数年に一度、大地震が起きています。2024年能登半島地震も復興が遅れている状況があり、今後も、南海トラフ地震、首都直下型地震などの発生が、かなり高い確率で想定されています。

国内の木造住宅における耐震性強化は喫緊の課題となっていますが、戸建・長屋あわせて500万戸もの住宅が未だ耐震性不足との統計があります。また、2016年の熊本地震では被害が大きかった益城町において、国の調査結果と分析からも新耐震基準以降に建築された木造住宅のうち、崩壊・倒壊、大破、中破といった大きな被害が25%となっており、新耐震基準以降に建てられた木造住宅であっても、耐震面で改善の余地があることも明らかとなりました。

住宅メーカー各社が耐震性向上に取り組んでいますが、今回、紹介するSI事業の展開により、全国で耐震性が高い木造住宅供給が大手住宅メーカーと地域住宅企業の共同で進むことを朗報としてお報せしました。

本記事構成にあたり、2024年1月8日付積水ハウスプレスリリースを参考としました。興味ある方はぜひご覧ください。

出典:2024.1.8積水ハウスプレスリリース

 

(本記事は総合資格naviライター kouju64が構成しました。)