2024年人手不足倒産が2年連続で過去最多を更新 建設業が約3割を占める【建設NEWS】

人手不足倒産は、前年比1.3倍の342件、2年連続で過去最多を更新

帝国データバンクは2025年1月9日、2024年の「人手不足倒産※」は累計342件で、前年の260件から約1.3倍に増加したと発表しました。2013年に調査開始以降の過去最多を2年連続で大幅に更新する結果となりました。

また、人手不足を感じている企業の割合は2024年12月時点で52.6%と半数を超え、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで一時的に緩和された2020年以降に急上昇し、高止まりが続いています。

また、いわゆる「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に代表されるように、労働者の高齢化が深刻な問題となっており、今後もマンパワーの拡大は期待しにくいことから、人手不足による倒産は今後も高水準で推移すると予想されています。

※人手不足倒産とは、法的整理(負債1000万円以上)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等による人手不足が要因となった倒産をいいます。

「2024年問題」に直面した建設・物流業は2年間で急増

2024年の人手不足倒産は、業種別でみると建設業が前年比8件増の99件で最も多く、全体の約3割を占めました。物流業も同7件増の46件と高水準で、時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した両業種が全体の4割強を占めています。人手不足によって事業継続の断念に追い込まれるケースが深刻化していることが浮き彫りになりました。

建設・物流業の人手不足は、労働時間の減少かつ高齢化によってさらなる難局へ向かうのか?

人手不足倒産の中でも、最も多くを占めている建設業は、今後も深刻な人手不足が想定されています。業種別では、景況感は高水準である中、2024年の毎月勤労統計を見ると総実労働時間や出勤日数などは減少傾向にあります。

これは、時間外労働の上限規制の影響と考えられますが、人手不足の中で、実際に労働時間も減少したことで、より経営の舵取りが困難になったといえるでしょう。

加えて、就業者に占める60歳以上の割合は、建設業で23.9%と全業種を大きく上回っています。物流業では18.6%となり建設業と比較してやや低いものの、50歳以上の割合では49.5%と約半数にのぼります。

今後も高年齢化の傾向は続くと思われますので、業務の省力化・効率化が重要且つ喫緊の課題といえるでしょう。

出典:人手不足倒産の動向調査(帝国データバンク2025.1.09)

まとめ

総合資格ナビでは、以前より「2024年問題」や「2025年問題」が建設業にもたらす影響について解説してきました。

本記事は厳しい内容ですが、大手から中小、零細まで裾野が広い建設業界では、人手不足による淘汰も不可避といえるのかもしれません。それだけに多くの学生が就職先として志望する大手企業や地域優良企業は、建設DXの導入など省力化や効率化による経営環境の改善へ、不断の努力を継続しているのです。

就活生もしっかりと志望業界、企業の将来を見据えていくことが必要になるでしょう。

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(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)