
特集【12】鹿島が現場の工場化を目指して造成工事に「A4CSEL」を初適用【建設DX】
鹿島建設は、ダム堤体打設工事で適用実績のある自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」を造成工事で初めて運用開始しました。この件、および「A4CSEL(クワッドアクセル)」について解説します。
A4CSEL(クワッドアクセル)本格適用の造成現場は愛知県
今回、A4CSEL(クワッドアクセル)を本格運用している造成現場は、愛知県岡崎市が進める「岡崎市阿知和地区工業団地造成事業」です。この事業は、約63haの敷地に、工業団地とスマートインターチェンジおよび周辺アクセス道路を整備するPFI事業です。
鹿島建設では本現場にA4CSEL(クワッドアクセル)を本格適用することで、造成現場における課題を抽出し、日々改善・最適化を図り、より汎用性のあるシステムへと高めていくことを目的としています。
この造成工事現場では、自動振動ローラー2台を導入して盛り土作業を進めています。
A4CSEL(クワッドアクセル)の適用に当たっては、自動振動ローラー用施工計画システムを新たに開発しており、日々変化する現場条件に応じたパラメーターを設定すると、最適な施工計画を自動で作成。そのデータを重機管理システムが読み取り、自動運転プログラムを通じて2台の振動ローラーが自律制御で動き、転圧する仕組みです。計画から施工まで一気通貫で行えるようになりました。
出所:鹿島建設
A4CSEL(クワッドアクセル)は2020年からダム提体打設工事で適用開始
自動化施工システム「A4CSEL®」(クワッドアクセル)は、建設業界の課題である「人手不足・熟練技能者不足への対応」、「生産性向上」、「労働災害撲滅」を目的に、自開発が進められ、2020年から秋田県東成瀬村の成瀬ダム堤体打設工事に適用し、2022年10月にはダム工事におけるCSG(現地で得られる石や砂れきとセメント、水を混合した材料)の月間打設量で国内最高記録を62年ぶりに更新するなど、成果を上げてきました。
注)クワッドアクセルA4CSEL=Automated/Autonomous/Advanced/Accelerated Construction system for Safety,Efficiency,and Liabilityの略称
造成工事では、堤体打設工事と異なり、山を削った土で谷地を埋め立て進めるために、複雑な地形(盛り土形状)や高低差(排水勾配)など、日々作業エリアの条件が変化していきます。材料となる土質も変化するため、建機を臨機応変に対応させる必要がありました。
造成工事のレーン割りを従来システムよりも細分化
新たに造成工事用に開発した施工計画システムでは、ローラーが走行するレーン割りを従来の施工計画システムよりも複雑な形状に合わせられるようにしています。さらに、2台の自動振動ローラーが常に互いの位置を把握しながら動くため、安全で無駄のない施工を進められるものです。
出所:鹿島建設
まとめ
鹿島建設では、最大の生産性を得る施工マネジメントシステムと最大の作業効率を得る自律自動運転システムで構成されるA4CSEL(クワッドアクセル)を、他工種への展開を進めるべくシステム開発を継続しており、ダム工事で培った技術を適用しつつ、造成工事特有の条件や制約などに対応できるシステムに深化させ、「現場の工場化」を進めていくとしています。
本記事構成にあたり、下記、鹿島建設のプレスリリースを参考としました。
自動化施工システム「A4CSEL」 造成工事への本格適用を開始(鹿島建設プレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)