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【建築学生団体・紹介】滋賀県立大学 加子母木匠塾
滋賀県立大学 加子母木匠塾は、全国8大学が集う「加子母木匠塾」で活動を続ける学生団体!たくさんの方々に助けられて、今年で30周年を迎えられました!
「加子母木匠塾」とは?
1995年から岐阜県中津川市加子母で行われている「加子母木匠塾」は、木材の加工や木、森に関する知識を学ぶ「木育」を通して地域と交流を行う団体で、毎年、全国から建築を専攻している大学生たちが、この加子母に集まり、木造建築実習の合宿を行っています。
近年は京都大学、京都工芸繊維大学、京都芸術大学、立命館大学、滋賀県立大学、金沢工業大学、名城大学、東洋大学の8大学から学生団体が参加しており、毎年学生たちで決めたテーマに基づき、公共の建物や学校遊具、バス停、公園のベンチなどを、地元工務店の指導のもと制作しています。
学生たちは、自然や地域に溶け込みながら、大学の勉強だけでは習得する機会のない日本の伝統的な木造建築の技法も体感します。木材加工や施工を行うだけでなく、森林見学や間伐体験などを通して実際の森林や山村の現状を見ることは、国産材や森林の持続可能な利用について考えるきっかけとなっています。
8大学に在籍する塾生は総勢約420名となり、夏合宿には、そのうち200名を超える学生が参加します。30周年を迎えた2024年度、滋賀県立大学からは44名が参加しました。
滋賀県立大学 加子母木匠塾のすごいところ!アピールポイントや参加するメリットなど
2024年度代表を務める人間文化学部 生活デザイン学科3年 棚橋璃咲さんに、滋賀県立大学 加子母木匠塾の「すごいところ」を3つ挙げていただきました。
・Point1:全国から8大学が参加しており、他大学との交流がある!
・Point2:設計から施工まで学生の手で行うため、木造建築に関する実践的な技術を学べる!
・Point3:30年の歴史で構築された地域の方との深い交流がある!
滋賀県立大学では木匠塾参加が単位認定されます(初年度のみ)。また参加木匠塾は、加子母木匠塾の他に多賀木匠塾(滋賀県)、川上村木匠塾(奈良県)が選択できるそうです。
※多賀木匠塾は総合資格naviで紹介していますので、「こちら」をご覧ください。
代表、棚橋璃咲さんが加子母木匠塾への参加を選んだ理由は、全国木匠塾で最も歴史が永く、全国8大学から400名以上が参加するスケールの大きさや、何よりも年間を通して、学生や地域の皆様との交流機会が多いことに魅力を感じたからでした。
滋賀県立大学 加子母木匠塾の主な活動
他大学と共に行う、春合宿(3月)と夏合宿(8月)をメインに加子母で制作に取り組み、学生同士の交流や地域イベント開催を行います。それ以外にも年間通して、準備や講習、運営の打合せに継続して関わっていきます。
■定例会:学内活動はキャンパス内「もくれん(造形活動拠点施設)」で実施。学外活動は岐阜県中津川市加子母で実施しています。
■年間スケジュール(2024年度の例)
滋賀県立大学 加子母木匠塾の活動紹介
■春合宿(2024年3月・加子母)
準備:3月7日(木)~9日(土)
前期:3月10日(日)~14日(木)
後期:3月15日(金)~19日(火)
片付け:3月20日(水)
【テーマ】
1.加子母と加子母木匠塾を知る
2.過去制作物のメンテナンスの常習化
3.これからの木匠塾を考える
2024年度は加子母木匠塾30周年を迎え、春合宿という新たな取り組みを開始しました。各大学の過去制作物を大学ごとに分かれてメンテナンスし、滋賀県大は金沢工大とともに、松屋※に檜風呂の設置と薪置き場の制作を行いました。
※松屋は加子母木匠塾の学生達が2011年より改修を続けてきた古民家で、現在はゲストハウスとして活用されている、木匠塾生の「加子母の家」です。
■道具講習・安全講習(4月)
新塾生が入塾すると、先輩が道具の使い方を教えます。主に、墨付けの仕方、ノコギリの使い方、ノミ研ぎなどを行います。新塾生は毎年自分のノミを購入するため、ノミを使うために必要なカツラ落としを行います。また2、3年生は電動工具を使うための安全講習を行います。
■合同技能講習(5月 立命館大・滋賀県大・金沢工大)
3大学で合同技能実習を行い、傘立てを制作しました。設計は立命館大と滋賀県大の学生で行い、完成した傘立ては両大学の製図室に置かれています。
■継手講習(6月)
加子母木匠塾では、継手や仕口を使用した制作を行います。そのため、実際に大きな制作を行うプレ木や夏合宿に向けて、継手講習を行いました。本年度は「腰掛け蟻継ぎ」に挑戦しました。
午後は体育館でバレーボールを行い、皆で声を出しながら良い汗をかきました!先輩後輩関係なくハイタッチして楽しむことができました。
■プレ木(6月)
滋賀県立大 加子母木匠塾が学内で行う、最大の活動がプレ木です。実施にあたり、施主決め、コンペ、実施設計、制作、納品までを全て学生が行います。
2024年度は、彦根市の丸松木材株式会社が敷地内で開催する「イイネタマルシェ」に子供向けの複合遊具を設置することになりました。施主から条件提示いただき、4月末に学内で「プレ木コンペ」を行い、制作案を決定しました。
今回の制作物は、滑り台、ボルダリング、休憩スペースを組み合わせた遊具となり、昨年度よりはるかに規模の大きな制作物となりました。6月末から7月にかけて制作を行いました。
プレ木の制作作業の際には、スイカ割りや運動会など盛りだくさんの学生交流を行い、大いに盛り上がりました。毎年製作する「県大Tシャツ」を着て、塾生と制作物の記念撮影を行いました。
■夏合宿(8月・加子母)
準備:8月5日(火)~8日(木)
前期:8月9日(金)~16日(金)
中日:8月17日(土)
中期:8月18日(日)~21日(水)
中日:8月22日(木)・23日(金)
後期:8月24日(土)~31日(土)
片付け:9月1日(日)~3日(火)
・テーマ
1.地域とつながる制作物
2.学生間交流
3.地域交流
★4つの規模が大きな制作物を企画して、各プロジェクトを担当する大学を決定しました。一方、制作メンバーは大学混成で班を構成して、プロジェクトごとに宿泊場所が分かれ、合宿期間中は制作進行と共同生活を行いました。
【2024年度制作物】
①モニュメント・境界
場所:住宅展示場 担当:京都大学・京都芸術大学
➁遊具・ベンチ
場所:じーこうえん 担当:滋賀県立大学・名城大学
③車庫
場所:辰喜建築工芸 担当:京都工芸繊維大学・立命館大学
④倉庫
場所:内木家 担当:東洋大学・金沢工業大学
夏合宿では、全国から延べ200人を超える学生が集まり、共同生活を行います。他大学の学生と作業をしたり、学生企画の地域イベントを通して加子母に触れたり、花火や肝試しなどを通して、学生同士が交流します。
宿泊先では炊事、洗濯なども学生が行い、地域の方々に支援いただきながら、企画から運営まで全てを学生主体で行う年間最大の活動です。
夏合宿中に多少のやり残しがあり、9月幹部会と合わせた延長合宿で制作物の総仕上げを行いました。
■木匠の日(10月20日(日)・加子母)
「木匠の日」は、加子母木匠塾が30周年を迎えたことで実施された記念イベントです。
【実施の目的】
1.木匠塾の活動を地域の方に知ってもらう
2.木匠塾生が30年間積み上げてきたものを再確認する
3.加子母の関係人口を増やす
4.住宅展示場※の活用を行う
本イベントは2024年度制作物の紹介や木匠塾資料館の展示などを通して、地域の人に木匠塾について知っていただく場となりました。
飲食や遊びなどのブースを設置して運営したり、楽器演奏やダンスなどのステージ企画を実施したりしました。
会場で配布するチラシの製作や販売するキーホルダーやタオルの製作、ステージの装飾などは全て学生が行いました。
※住宅展示場は「かしもひのきの家住宅展示場」として知られるスペースです。地元スーパー、ショッピングプラザ・アトラに隣接していることもあり、中津川市では地域イベント等で活用促進をしています。
■合同ツアー (12月 東洋大・立命館大・滋賀県立大 加子母)
加子母木匠塾では、11月23日(土)、24日(日)幹部会で次年度へ引き継ぎを行いましたが、幹事同士の話し合いにより、12月21日(土)、22日(日)で、3大学合同ツアーを行うことになりました。この時は、滋賀県立大学が2017年に制作した加子母小学校のウッドデッキ(中庭野外ステージ)のメンテナンスや内木家倉庫の整備などを行いました。
【幹部会とは】
加子母木匠塾は全国8大学が参加し、塾生は総勢約420名という大組織です。各大学から選出された幹部は、毎月一度は加子母で幹部会を行い、大学同士の交流や活動の情報共有を行います。幹部会だけでも総勢80名弱となります。合宿やイベントの企画、運営の打合せなども幹部会で行っており、合宿で塾生は前期・後期交代で活動参加しますが、幹部は期間中を通して、現地で運営と活動を行います。
滋賀県立大学 加子母木匠塾のメンバー構成(2024年度)
・合計人数:48人(男性:16人、女性:32人)
・学年人数: 3年13人、2年15人、1年20人
滋賀県立大学 加子母木匠塾 各種情報
代表(2024年度)
滋賀県立大学 人間文化学部 生活デザイン学科 3年 棚橋璃咲
代表メールアドレス : 公式インスタグラムからDMでご連絡ください
各種URL
・Instagram : 公式インスタグラム(kashimo_shigamoku)
※本記事に掲載した図版・写真は、滋賀県立大学 加子母木匠塾提供によるものです。
(本記事は、総合資格naviライター kouju64がインタビュー取材を行い、記事構成しました。)