【建設業の基礎知識】2025【3】公共工事で低炭素型コンクリート活用が増えている理由

国土交通省が直轄公共工事で低炭素コンクリートを導入し、全国で拡大中!

国土交通省は直轄公共工事でCO2削減効果がある「低炭素型コンクリート」の試行工事を実施して、2024年末時点で、全国17都道府県で51件、約11,000㎥の工事に導入するなど、広い地域に普及していることを発表しました。

出所:国土交通省プレスリリース

なぜ、低炭素型コンクリートを積極活用するのか?

一度整備されると、長期間に渡り供用されるインフラ工事では、ライフサイクル全体の観点から、供用・管理段階でのインフラサービスにおける省エネのみならず、建設施工段階において省CO2建材の活用など脱炭素化に向けた取組みを強化することが求められています。そのため、国土交通省が発注する工事では、全国的に低炭素型コンクリートの活用を進めているのです。

■低炭素型コンクリートとは?

ポルトランドセメントの置換率が55%以上のもの又はこれと同等以上のCO2排出削減効果のあるコンクリートを低炭素型コンクリートと呼称しています。セメントの55%w置換したコンクリートは、製造時のCO2排出量が約50%削減されます。

■低炭素型コンクリート試行工事とは?

国土交通省は2021年12月策定の「国土交通省環境行動計画」や2023年7月に閣議決定した「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」などに基づき、現場導入が可能な技術から試行的に活用していくとしており、CO2削減効果のある低炭素型コンクリートの活用を進めています。

これまでの試行工事では、岐阜県で大林組・大本組・市川工務店JVが施工する「令和2年度新丸山ダム本体建設第1期工事」(3036㎥)。秋田県で鹿島建設・前田建設工業・竹中土木JVが施工する「成瀬ダム堤体打設工事(第2期)」(1526㎥)などで低炭素型コンクリートが活用されています。

低炭素型コンクリート活用の概況

低炭素型コンクリート試行工事51件のうち、49件がプレキャスト製品、2件が現場打ちコンクリートで、材料面では50件が高炉スラグ微粉末置換、1件が高炉スラグ微粉末とフライアッシュの混合置換でした。また、約半数がCO2排出削減に要する費用が、市場価格以下(1トン3,000円未満)と費用増加の問題がないものでした。

出所:国土交通省プレスリリース

まとめ

2050年カーボンニュートラルに向けて、国土交通省では今後、ますます低炭素型コンクリートの活用を拡大導入していく他、脱炭素化に資する技術活用に取り組んでいくとしています。CO2削減に要する費用が市場価格と比べても高額とならないことや、国土交通省直轄公共工事で活用するための生産体制から、民間工事現場での活用も進んでいくものと思われます。

出典:令和7年3月14日国土交通省プレスリリース

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)