
建築学生の日常 ~広島大学院修士2年~
広島大学院/先進理工系科学研究科 修士2年
Q1)建築を志したきっかけと現在の大学に進もうと思ったきっかけ
建築を志したきっかけと広島大学に進んだきっかけ
私が建築を志すようになったきっかけは、長年打ち込んできた陸上競技の中で感じた「空間の力」に感動したことです。競技場という空間は、選手と観客が一体となり、熱気や高揚感を共有できる特別な場所です。なかでも、自分が出場した大会で、観客の歓声や空間の広がりが一体となった瞬間に、まるでスタジアム自体が生きているかのような印象を受けました。そのとき、「人の心を動かす空間を、自分の手でつくってみたい」と強く思い、建築の道を志すようになりました。
広島大学を選んだ理由は、環境・設備・まちづくりまで幅広く学べるカリキュラムに加え、実践的なスタジオ教育や研究活動が充実している点に魅力を感じたからです。加えて、自然と都市が調和する広島の環境も、建築を学ぶ場として理想的だと感じました。ここでなら、空間を通じて人々の心に残る建築を生み出す力を、じっくりと養えると確信し、進学を決意しました。
Q2)好きな授業とその理由
好きな授業「建築環境工学」
建築環境工学の授業が好きな理由は、「快適さ」や「省エネルギー」といった視点から空間を設計する知識が得られるからです。建築はデザインだけでなく、使う人の健康や行動にも深く関わるものだと実感し、光・熱・空気・音など、見えにくい環境要素を数値や理論で考えられる点に魅力を感じました。将来、環境にやさしく、使う人にも心地よい建築をつくるための基礎を学べる、非常に実践的な授業だと感じています。特に建築環境工学の授業は、「どうやったら夏も冬も快適にすごせる建物をつくれるか」といった、リアルに人の暮らしに関わることを学べるのが面白くて好きです。日差しの入り方や風通し、音の響き方まで、ちょっとした設計の工夫で全然変わってくることを知って、「目に見えないけど大事なこと」が建築にはたくさんあると気づかされました。
Q3)1週間の大まかなスケジュール
月曜日 8時起床 1-4限授業 17時から部活 23時就寝
火曜日 8時起床 2、3限授業、17時から部活 23時就寝
水曜日 8時起床 1-4限授業 課題のまとめ 23時就寝
木曜日 8時起床 3、4限授業 17時から部活 23時就寝
金曜日 8時起床 1-4限授業、17時から部活 23時就寝
土曜日 10時起床 13時~18時バイトで5時間拘束 23時就寝
日曜日 10時起床 フリー 友達とゲームしたりする 24時就寝
Q4)設計課題等で作成したもの
人と人がつながる小学校
この設計課題では、地域と学生が自然に関わり合える「人と人がつながる小学校」をテーマに、学びと交流の拠点となる建築を提案しました。地域住民が気軽に立ち寄れるオープンスペースや、授業外の交流が生まれる中間領域を積極的に配置することで、小学生と地域の人々の関係が日常的に育まれる空間を目指しました。
校舎の中心には、学年や世代を越えた交流が生まれる「つながりの広場」を設け、視線や動線が交わるように設計。素材やスケールにも配慮し、子どもにとって安心感がありながらも、地域に開かれた場としての柔らかさを持たせました。
学びの場であると同時に、地域のコミュニティ形成の核ともなるような、これからの時代に求められる「開かれた学校」のあり方を模索した提案です。
Q5)大学に入って大変だったこと
勉強と部活の両立
大学入学後、最も苦労したのは、建築の専門的な勉強と陸上競技部での活動の両立でした。設計課題やレポート、実験などに追われる日々の中で、早朝からの練習や遠征が重なると、体力的にも精神的にも限界を感じることがありました。
特に夜遅くまで製図作業をした翌朝に、眠い目をこすってグラウンドに立つときは、自分の選んだ道に迷いを感じることもありました。しかし、「どちらも全力でやり切りたい」という思いが原動力となり、日々のスケジュール管理や優先順位の判断力が自然と身につきました。
この経験を通して、粘り強さと責任感を培うことができ、どんな状況でも諦めずに取り組む力が養われたと感じています。今では、建築に向き合う姿勢にも競技の経験が活きており、両方に本気で取り組んできた時間は、自分にとって大きな財産となっています。
Q6)これから建築を志す後輩へのメッセージ
楽しんだもん勝ち!
大学生活、課題に部活にバイトに…やることが多くて、大変なこともたくさんあると思います。でも、どんなときも「楽しむ気持ち」を忘れないでください。
私は正直、忙しさに追われて余裕がなくなっていた時期もありました。でも、仲間と笑いながら夜遅くまで模型を作った時間や、ヘトヘトになりながら走ったグラウンドの風景は、今振り返るとどれもかけがえのない思い出です。
頑張ることも大事だけど、「自分なりに楽しむこと」を忘れなかった人が、きっと最後に一番成長して、素敵な大学生活だったと言えるはず。
Q7)将来の夢
後世に遺せる建築に携わりたい
私の将来の夢は、後世に遺せるような建築をつくることです。それは単に長く残る建物を意味するのではなく、人々の記憶や暮らしの中に深く根付くような、時代を超えて愛される空間を創り出したいという想いからきています。
きっかけは、私自身が陸上競技場という空間に心を動かされた経験でした。観客の歓声や選手の熱気が一体となるあの瞬間。建築が、人と人とのつながりや感動を生み出す場になり得ると強く感じたのです。
そうした体験を重ねるうちに、「建築とは社会に残せるかたちあるメッセージ」だと考えるようになりました。だからこそ、誰かの人生に寄り添い、地域や文化に根ざした建築を、次の世代にも胸を張って引き継げるかたちでつくっていきたい。そんな建築家になることが、私の夢です。